いろいろなスタイルでのオンライン講義を試している.今回,紹介する方法は,講義動画を事前に収録してそれを配信するスタイルである.こちらも反転授業に近い感覚で実施している.
動画配信方式の手順
動画配信方式は,次の手順で実施している.
- 事前に講義動画を収録しておく
- 1週間前にそれを配信し,1週間のうちに課題を提出させる
- 現状はリアルタイム講義をやっていないので,寄せられた質問には都度フィードバックする
先般紹介したラジオ方式よりは,シンプルなやり方かもしれない.なお,作成する動画はなるべく細切れにして,編集はしない.失敗したら取り直すくらいの細切れ加減でちょうどよい.
当初,LMS(manaba)の50MB制限に引っかからないようにと10〜15分で刻んだのが功を奏した.その後,manabaの制限が10MBと厳しくなったためYouTubeに移行したが,それでも長い動画はYouTubeでも制限があるようなので,このサイズが妥当と考える.
1コマぶん延々と動画を見させられるのは苦痛,という指摘がある(もっとも,それに対しては「停止ボタンの使い方を教えて差し上げろ」といった意見もあり,もっともだと思う).動画は細切れにして,間に,小テストやLMSの様々な機能を入れ込む工夫があるとよいようである.
動画配信方式のメリット・デメリット
さて,先般と同様,その得失を考えてみたい.まずは,メリットから.
なんといっても講義動画は資産として残り,しばらく使いまわせそうだという点が最大のメリットと考えられる.対面講義ができるようになったら,資産として残った動画で事前に予習させ,講義時間内には質問に重点的に答えたり,あるいは応用・発展的な話題に触れたりというような,反転授業に移行することができそうである.やりたくてもなかなか実現できなかった反転授業への大きな足がかりになりそうという点で大きなメリットを感じている.
教育効果についても,まあこれは動画配信方式に限ったことではないが,LMSを用いたやりとりで熱心な学生には重点的かつきめ細やかな指導ができるという点で,その効果に期待ができる.もっともこれは諸刃の剣で,教員の負担がかなり高い.私がしんどい.どれだけ頑張れるか,これも程度問題ではあるので,落とし所をどこにするかが問われそう.
デメリットはやはり,対面の講義ではないので,話す方も聴く方も「疲れる」という課題がある.これって慣れれば多少は解決するのかなあ.対面の講義では,受講生の顔色を伺って,分かったかな?難しかったかな?などと調整しながら喋っていたことを実感する.やはり,人に向かって喋るのとカメラに向かって喋るのでは,基本的なスキルが異なる,ということを痛感させられる.
また,やはり準備が大変だ.だいぶ慣れてきて時間を短縮できるようになってきたとはいえ,当初は1コマぶんの動画を準備するのに半日かかった.教員の負担感をなんとかして軽減する必要があるだろうなあ.作り込めば作り込むほど学生の理解度や満足度は高くなるだろうが,悩ましいところではある.
動画を提供するので,通信量的な問題があるという点もデメリットだろうか.ただ,これについては「そのぶんヘンなYouTuberの動画みるの少しは我慢しろよ」とも言いたくなる.幸いにして私のいる学部は情報系でBYODに対応するようにと学生に指示しているので,ギガ不足のような問題はほぼ発生しなかった(「ごめんなさい自分の使い方が悪いんですぅ」と反省の弁を述べつつ改善を誓った学生が1人だけいたらしい).
動画を提供するので,通信量的な問題があるという点もデメリットだろうか.ただ,これについては「そのぶんヘンなYouTuberの動画みるの少しは我慢しろよ」とも言いたくなる.幸いにして私のいる学部は情報系でBYODに対応するようにと学生に指示しているので,ギガ不足のような問題はほぼ発生しなかった(「ごめんなさい自分の使い方が悪いんですぅ」と反省の弁を述べつつ改善を誓った学生が1人だけいたらしい).
その他の工夫
その他の工夫として,ペンタブレットを導入したこと,その効果は大きかった.まあ,これは講義の内容にもよるだろうが.この方式を取り入れた講義は数学なので,グラフや数式など,適宜,落書きができる必要があった.
最初は白板に書いて動画を撮影してみるなどの工夫をしてみたが,自宅で動画を撮影せねばならないことになり白板の使用は断念した.やむなく,比較的安価なペンタブを買ってきておそるおそる使ってみたところ,なかなかよい.これまで食わず嫌いで手を出さなかったことが悔やまれるレベルだった.
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