2022年12月30日金曜日

2022年の十大ニュース

毎年恒例,今年の10大ニュース.さて今年は……?

第10位:買い物たくさん

今年はいくつか,やや大きめの買い物をした.MBP(M1)が壊れてしまったのでMBP(M2)を買い,海外出張が多かったのでリモワのちょっといいスーツケースを買った.ついでに新しいスーツとジャケット,ちょっといい靴を買った.研究室にも大きめのモニタを導入した.VRのヘッドセットも導入した(モニタとHMDは研究費で購入).

第9位:RSDB充実

トイレサインデータベースに登録されたエントリが2,000件を超えた.学会発表もしたし,とりあえずはひと区切りというところかな.あとは,どこか出版社が拾ってくれないかなーというところ.トイレサインやピクトグラム研究に関する書籍,VOWみたいなノリで一般向けの本で構わないので,どこか出版企画,出さしてくれないかなあ.

第8位:風邪ひいた

最後に調子を崩したのは2019年12月,イタリアに出張して疲弊して帰ってきたところで風邪をひいたのが最後で,その後,COVID-19対策でずっとマスクしてたりなんだりで,3年間,風邪ひとつひかず健康な毎日を過ごしていた.ところが今年の12月にとうとう風邪をひいた(COVID-19ではない).熱は3日ほどでひいたけれど,咳が3週間とまらず,ようやく治ってきたかな,というところ.

第7位:ゼミ合宿

夏休み,iTLゼミのメンバー有志で,北海道に2泊3日のゼミ合宿に行った.これも3年ぶり?さくらインターネットの石狩データセンターを見学させていただいたり,面白い体験をした.やはりこういうの大事だなあ.

第6位:露出増

大学が共同研究を推進している「プラスC」というサイトや,教育力研究会発機構が出しているガイドブックに載せていただいたり,長野県民新聞から取材を受けたりと,例年より露出が多い1年だった.

第5位:大学院設置

昨年の十大ニュース,第8位で飛び込んできたというニュースはこれ.修士課程だけだが,国際情報研究科の大学院設置が決まり,今年は来年度からの院生を受け入れる準備を進めてきた.予定ではうちにも何名かの院生が来る予定で,ますます賑やかになりそう.

第4位:特許取得

いままでいくつか特許を公開したことはあるものの,いずれも防衛特許的位置付けでの公開だったので出願して取得できたのは初めて.特許のコピーが送られてきたときは,やはり,少し嬉しかった.

第3位:書籍出版

森北出版から「サイバーフィジカル」が出版された.昨年は3冊出版できたけれど,それはたまたまタイミングがかちあっただけ.私としては,年に1冊,出版できれば,まあ,いいほうだろう.

第2位:多数の論文発表

IEICEの英文誌に掲載が決定したことをはじめとして,硬軟取り混ぜて今年度は飯尾研から30件以上の論文・学会発表があった(発表決定済みの予定を含む).学部3年生の国際会議採択も嬉しいニュースのひとつ.いずれにしても研究活動が活発化してよいことですな.素晴らしい.

第1位:東南アジア巡業

COVID-19パンデミックで国境を越えることがなかなか難しかった2年間が過ぎ,今年は比較的気軽に海外に出張できるようになった.東南アジアのプロジェクト関係で,シンガポール,マレーシア,タイ,フィリピン,ベトナムに出張.やはりリアルな対話は不可欠だ.

2022年12月10日土曜日

オンライン交流の楽しさを測る

この図は,本稿で述べるアンケートの自由回答を全て英語に翻訳したものから作られたワードクラウドである."It was fun and interesting," "Students can make friends," "People talk to each other in English," and "This program is a good opportunity to communicate over countries." など,楽しげな回答が多かったのではなかろうかということが透けてみえようというものだ.

NPSの計算

2022年度の「にこP」(The SMILE project)も,まだいくつかの学校間での交流授業が残っているが,ほとんどの交流を終えた.ちょうどよいタイミングと考え,Net Promoter Score®を計測すべく,参加者にアンケートを実施した.Net Promoter Score (NPS)とは,「このサービスや製品をお友達に薦めたいですか?」という問いに対して「0:全く薦めたくない」から「10:強く薦めたい」まで,11段階で推薦したいかどうかの度合いを訪ね,その価値を測る方法である.

得られた推薦度のデータに対して,0〜6を批判者,7, 8 を中立者,9, 10を推薦者とし,NPSは次の式で計算される:

NPS = ( (推薦者の数) - (批判者の数) ) / 全回答者数

ところで,日本人は中庸を好み,この手の質問には中立である「5」を付けたがるという指摘もある.そのため,単純にNPSを計算すると,マイナスの値になってしまう傾向がある.それを補正するために0〜4を批判者,5〜7 を中立者,8〜10を推薦者として計算するPromoter Score Japan (PSJ)という指標も提案されている.

にこPアンケート結果

さて,にこPアンケートに立ち戻ろう.本アンケートは,本年度「にこP」に参加した20校に対して回答を求めた.にこPで利用しているDialogbookのユーザ数は,本日(2022年12月10日)の時点で551であり,今年は少なくとも500名以上の児童・生徒・学生が参加していることになる.なお,アンケートは教員にも回答を求めた(ただし,教員の回答は11名,3.4%に留まっている).

今日時点での回答数は324件寄せられている.これはなかなかの回収率と考えてよかろう.そのなかで「Do you recommend this program to your friends and/or colleagues?」と問うた設問が,NPSの計算に利用するためのデータである.

この回答を,日本と海外に分け,グラフで描いてみた.次のグラフをご覧いただきたい.

回答数が日本と海外で異なるため,縦軸は個数そのものではなく「日本」「海外」それぞれの総数に対する比率で表している.海外のほうが,白黒はっきり付けたがる傾向を見て取れよう.案の定,NPSを計算すると,全体ではややプラスになるものの,日本だけで計算するとマイナスの値になってしまう.

今後の展開

海外の多くの参加者から高評価を得た点は,素直に喜ぶとして,我々に突き付けられている課題は低評価の原因を解明し,それを取り除くことである.

実は,先の設問に追加して,任意回答として「Let us know the reason for your evaluation in the previous question. (It is okay to write your opinion in your local language.)」という設問も用意した.驚くべきことに本設問は任意回答としながらも,236件(73%)の回答が寄せられている.

ざっと眺めてみると,現場でどのような問題があったのか,それによって何がマイナスポイントになっているのかが朧げながら見えてくる.また,高評価に対しても何がよかったのかについていくつかのパターンが浮かび上がる.冒頭で述べたように,それらを類型化すれば,参加を呼びかけるときのアピールポイントにもなるだろう.

2022年12月2日金曜日

データが語るSEOの効果

Googleのサーチコンソールという機能がある.Googleの検索結果がどれだけ影響しているかをデータで見せてくれるものである.最長16ヶ月のデータが取れるので,本ブログに関する検索結果をダウンロードして調べてみた.

次の図は,横軸に掲載順位(表示されたときの順位の平均),縦軸にクリック率(CTR, Click Through Ratio)をとり,上位1,000件のデータのうち,表示回数100回以上,掲載順位15位以内,CTR1.0%以上のデータを用いて散布図を描いたものだ.

これをみると,CTRと掲載順位には指数関数的に減少する関係があることがわかる.それもかなりきれいな分布である.掲載の順番が下にいけばいくほど,クリックされにくくなる,すなわち,記事にアクセスしてもらえる可能性はダダ下がり…….

検索結果を上位に表示させるあれやこれやの工夫,いわゆるサーチエンジン・オプティマイゼーション(SEO, Search Engine Optimization)がいかに重要かがわかる.3〜5位くらいまでであれば,10〜20%程度のCTRを稼げる.しかし7位くらいまで落ちるとそれはもはや5%強になり,さらに9位より下になると3%を割り込んでしまう,というわけだ.ああ恐ろしい.

「ネットの検索結果はだいたい最初のページしか見られない.誰も次のページなんて見ない」としばしば指摘されるが,いやはや,本当にその通りなんだなあ.

CTRが25%弱と極端に高くなっている検索キーワードは「飯尾研究室」,当ブログのタイトルである.そりゃCTRも高くなろうもんというものだ.これは当然の帰結.その他のデータも,いい感じに回帰曲線付近にデータが散らばっている.なお,回帰曲線を指数関数で描いたのは,掲載順位が多くなると,0.0%に漸近するであろうという特性を考慮してのものである.

なお,CTRがあまりにも低いもの,1.0%より小さいものを省いた理由は,特別なケースを除くためである.たとえば,表示件数が13,362件と恐ろしく多い「査読」というキーワードによる検索結果がある.これ以外は,最多でも1,974件なので,桁が違っている.これは,検索順位も4.22と比較的よい位置に付けているにも関わらず,クリック回数が0なので,CTRは0.0%となっている.この査読関連のキーワードに関しては,一時期,妙に顕著なアクセス数があり,異常データの可能性が高い.

また,dialogbookというキーワードは,表示回数が578件とそこそこ多いものの,クリック回数は1件とこれまた少ない.これは,我々のプロジェクトでDialogbookというシステムを使っており,そこにアクセスするためにdialogbookというキーワードで検索するケースが多いからであろう.Dialogbookの利用者は https://dialogbook.herokuapp.com/ へアクセスするために検索していて,ブログで紹介している記事にはほぼ興味はない.したがって,システムを利用するために同じ検索結果上に出てくる当該システムへのリンクをアクセスして目的を果たし,本ブログの当該記事をクリックすることはけしてないからである.