2020年5月20日水曜日

T先生との対話(オンラインで学生の顔出しさせるべきか問題)

双方向リアルタイムなオンライン講義では,学生のプライバシー配慮を重視して,学生顔出しNGという方針が主流のようですね.それに関して,先日,T先生とした対話が面白かったので記録しておきます(T先生には転載の許可を得ています.句読点を揃えるなど,若干,手を加えていますが,基本的にはそのまま二人の対話を以下に引用します).

飯尾淳: プライバシー保護の重要性もわかりますけど,この問題,話すほうの人権はどうなっているんだ!ドンッ!(←机を叩く音)という観点も重要だと思っています.皆さん,反応ナシの画面に向かって,どうやって「自分の声がちゃんと相手に伝わっている確信」を持てているんだろう?私だけポンコツで,他の皆さんは超能力を持たれているのだろうか.



T先生: Zoomの場合は必要ならば拍手やサムアップのボタンでリアクションしてもらいます.真っ暗な画面にポツポツと拍手やサムアップが示されると「みなさんありがとう!その拍手やサムアップがとっても励みになりますよ」と語りかけたりしてます(笑).伝わらない事(これは「事」というかむしろ「相手」なのかもしれませんが)は,相手が見えても見えなくてもあまり伝わる気がしませんので,さらにできる事は極力質問を投げやすくすることくらいでしょうか.その意味で,学生の顔出しにはこだわらなくなりました.

飯尾淳: それは,やってるんですよね.意識して.最初に「〇〇なひと,手を挙げるボタンで手ぇあげて」って.でも,長いことネット使ってると(もう30年以上になりますね……)ネットの回線って基本的に信用してないので,大丈夫かなー,大丈夫かなー,って,途中でも気になっちゃって.途中から,誰も聞いていない虚空に向かって話しかけているという構図になってしまっていないか,不安に苛まれてしまうのです.

T先生: 「ネットの回線って基本的に信用してない」これわかります.技術的にも相手方の(最終的には)人としての条件においても,考えだすと不安しかありませんね.その意味で私もまさに顔出しのない画面を見て「虚空」だと直観して面食らいました.その上でなんですが,教室内でも目の前に学生がいながら同じように「虚空」だなぁと思ったりすることもあることを思い出し(これは私の力量ゆえですが……苦笑),技術的な工夫の余地はいろいろあるにせよ,私自身のパフォーマンスは通常の授業とたいして変わらないと思うようにしています.

飯尾淳:対面で虚空に向かって云々は,なんかデリケートなところに触れてしまいそうなので置いておくとしてw ネットを信用していないメンタリティっていうのは,若かりし頃の経験によるものなのです.昔,AFS(Andrew File System)なる,理念こそ壮大だったものの,それはそれは不安定なシステムがありましてですね,/home 以下がAFSでマウントされていたため(世界中のどの研究所からでも,ログインすれば同じ環境ですぐに作業できる,という目的だったと聞きました),これがしょっちゅう落ちていて「あー今日もAFS落ちてる,昼まで何もできんじゃんよう」っていうことがしばしば.そんなこんなでローカル至上主義者が1人できあがり,ってな寸法です.


T先生: AFSは「聞いたことがある」だけなんですが,そんな感じだったんですね.何かとローカルに置きたくなる習性って自分も昔はあったんですが,最近だんだん薄れてきました.やはり私のほうがキャリアが浅い分,トラウマの絶対量が少ないのでしょう(笑).対面で虚空は,それはもう……(爆

0 件のコメント:

コメントを投稿