2019年4月1日月曜日

「プログラミングのための数学」(中央大学,2019年度前期)

講義の目的と到達目標

実際のプログラミングにおける実装例を混じえつつ解説するが,授業は講義形式で実施する.本科目では,プログラミングに必要な数学的素養を習得することを到達目標とする.情報基盤を論理的かつ正確に構築できる知識の獲得を目指す.

講義の内容

ソフトウェアやシステムを作成するために論理的な思考は欠かせない.その実現方法のひとつとして数学による表現が求められる.多変量のデータを表現するためには多次元空間に関する知識を欠かすことはできない.そのなかで,モデルを表現する関数の取扱いには解析の知識も求められる.本科目では,担当教員がシンクタンクで実務にあたっていたときに使用していたプログラミングの事例を紹介するなど,具体的なプログラミングを想定しつつ,実装に必要な数学の知識として線形代数,確率統計,微分積分の基礎を学ぶ.また,授業支援システムなどを使用しつつ,双方向型の授業を実施する.

講義計画・資料

  1. 数と演算,物理量と単位(04/10)
    • 定義とはなにか,数学では数と演算をどう扱うのか,物理量とはなにか,単位をうまく使うことで計算を確実にするコツなどについて学ぶ.
    • 講義資料(PDF
  2. 代数(04/17)
    • 数の大小,絶対値,順列と組合せ,代数方程式,数列など,計算の基本について学ぶ.
    • 講義資料(PDF
  3. 4/24は出張のため休講です
  4. 関数(05/08)
    • 関数とは何か,関数のグラフの取扱い,関数と方程式の関係,関数の性質などについて学ぶ.Rの使い方も説明する.
    • 講義資料(PDF
    • 資料21ページの記述に誤りがありました.偶関数の説明において,正しくは「y軸に対して対称」です.すみません.
  5. 微分(05/15)
    • 微分の考え方を説明し,各種の微分公式や,微分して明らかになる関数の性質などについて学ぶ.
    • 講義資料(PDF
  6. 指数・対数(05/22)
    • 指数関数と対数関数について,その性質や扱い方について学ぶ.また,自然科学や社会科学における指数・対数の重要性についても触れる.
    • 講義資料(PDF
  7. 三角関数(05/29)
    • 三角関数について,その性質や扱い方について学ぶ.三角関数に関する各種の公式や,微分等に加え,極座標など関連する話題も説明する.
    • 講義資料(PDF
  8. 積分,微分積分の発展(06/05)
    • 積分について学ぶ.さらには,マクローリン展開,テイラー展開や,偏微分,全微分など,発展的な微積分の話題について学ぶ.
    • 講義資料(PDF
  9. ベクトル(06/12)
    • 線形代数学の基本として,ベクトルの性質について学ぶ.内積,外積,ベクトルの応用などを説明する.
    • 講義資料(PDF
  10. 行列(06/19)
    • ベクトルに続き,線形代数学の基本である行列について学ぶ.行列の演算,行列式,逆行列,対角化などについて説明する.
    • 講義資料(PDF
  11. 論理・集合・記号(06/26)
    • プログラミングでも重要となる基本的な論理学と,集合について学ぶ.また,数学で用いる様々な記号についても再確認する.
    • 講義資料(PDF
  12. 確率(07/03)
    • 確率とは何か.確率論の基本から,連続的確率変数の期待値,分散まで,確率の基礎をひととおり学ぶ.
    • 講義資料(PDF
  13. 統計学(07/10)
    • 統計学の基礎的な概念を学習する.標本とは何か,標本の平均や分散の性質,正規分布,大数の法則や中心極限定理などについて学ぶ.
    • 講義資料(PDF
  14. 期末試験(07/17)

教科書

奈佐原顕郎「大学1年生のための数学入門」講談社,2019.

講義の進め方

座学を中心に講義を進めるが,要所要所で実際に手を動かして確認する演習の時間を用意する.

成績評価

出席状況,試験,小テストなどの状況を勘案して評価する.