2023年8月29日火曜日

2023インドネシア出張講演

 8月20日から28日まで,インドネシアに出張した.出張の目的は,ある研究のための打合せと作業,および,カウンターパートへの表敬訪問だったが,現地の先生が出張先との調整をいろいろと手配してくださっているうちに,ガジャマダ大学とムハマディヤ大学でセミナーをすることがいつの間にか決まっていた(聞いてないよーw).

上記はそれぞれのフライヤーである.同行した若林先生と私が,それぞれのテーマで講演を行った.私が短めの話で場を温め若林先生に繋ぐ,という段取りだったはずだが,気付けば両日とも私がずいぶんと話をしてしまい,若林先生にはご迷惑をお掛けした.この場を借りてお詫びしたい.

両日とも,多くの聴衆に集まっていただけた.ガジャマダ大学では,教室がほぼ満員のおよそ50名に加えて,オンラインで配信した内容をリモートで聴いていた方々が60名いたとのこと.ありがたい限りである.

当然ながら両日とも英語による講演ではあったが,希望があれば日本語でもやるので,もし,内容にご興味があれば気軽にご連絡ください.

2023年8月18日金曜日

こんなところでHCD(5)

こんなところでHCDのシリーズも5回目.ダークパターン警察となにが違うんだろう?という気もしないでもないが,続けよう.

明後日からインドネシアに行く予定があり,e-VOAを取っておいたほうがよいというので試してみた.e-VOAというのは,VOAの電子版,VOAっていうのはVisa On Arrivalということで,到着時に空港で取れるVisaのことだ.到着時に取れるなら空港で取ればいいじゃん,と思ったが,なんだかいろいろ調べてみるとVOA取得に関するトラブルも多いらしく,だったら事前に取っちゃえと思った次第.ていうか事前に取ってる時点でVOAぢゃないんじゃ?というところには目をつぶるとして.

で,このe-VOA取得がもうたいへんだった.あれやこれや3時間くらいかかったかな?韓国の金浦空港から公共Wifiを利用して……なんていう不安定な環境からアクセスしていることを考慮しても,いろいろなトラップがあり,我ながらよく最後まで辿り着けたと感心する.どうしても決済サイトに繋がらないので日本のVPNを利用してみたりとか,やれることは何でもやった.でも,これ,普通のひとはあきらめちゃうよなぁ,って,普通の日本人は金浦空港からインドネシアのe-VOA取ろうなんてこと,しないか.

だがしかし,インドネシアのe-VOAシステムが相当ポンコツだったのは,無視できないぞ?たとえばこれ,そもそもSafariでは機能しないという大問題があるんだが,それはそれとして,直接入力できない!

なんてこと!

月をクリックすると年度単位で遷移できることに気づいたので,53歳である私は53回クリックすればよいということになるのだが,それでも,失敗すると毎回53回クリックせにゃならんというのは途方にくれてしまうだろう.

とにかく!一事が万事,この調子なのである.これでは困っちゃうよねえ.と苦笑いしたところで,ふと,自分のところはどうだろう?と思ったわけで.

隣の芝は青く見えるの逆で,隣のアラはよく見えるものである.インドネシア政府にコンサルしてあげるのは吝かではないが(こんなブログなんてインドネシアの関係者だれも読んじゃいないだろうし)似たような失敗を自分たちでもしてないか?という点は大いに不安になるところ.他人のふりみて我がふり直せ,とはよく言ったもので,気をつけたいところだろう.

2023年8月14日月曜日

帰ってきたグローバル・スタディーズ

5年ぶりに実施した日越学生交流イベントは成功裡に終了した.

2014年から2018年までの5年間,毎年お盆前の時期に「グローバル・スタディーズ」という科目で学生をベトナムに連れていっていた.この科目は,日本人学生(中大生)とベトナム人学生の国際交流を目的とするものである.

この写真は,第1回に参加した学生が作成したポスターの一部分である.このポスターは,グローバル・スタディーズの各プログラムを紹介するものだ.

本科目は,カウンターパートであるNECベトナムの皆様に多大なるご協力をいただいて実施していた.2014年に企画した際に「これはとてもよいプログラムなので10年は続けましょう」と約束していたものだが,2019年,新設学部に私が異動したため,いったんペンディングとなっていた.そこにCOVID-19パンデミックである.気付けばその後の4年間,何の対応もせずに過ぎてしまっていた.

NEC側の体制もずいぶん様変わりしたため一からの出直しとなったものの,2023年の今年,なんとか5年ぶりに同プログラムを再開できた.今年は8月6日〜12日のスケジュールで12名の学生が訪越し,そのうち7日〜9日の日程でワークショップを実施した.

初回の実施からおよそ10年経って感じたことは,昨今ベトナム社会のIT化が著しく,いまや「日本のITでベトナムの社会課題を解決する」というテーマ設定がいささか不自然なものになってしまったということである.その点については,次年度以降は少々建て付けを変えねばならないだろう.

日本人学生側のコミュニケーション力もだいぶ向上していた点も,第5回までとの違いとして感じられた.これは,今回からの実施が「国際情報学部」生の課外活動だったからかもしれない.もちろん英語力に乏しい学生も多少は混じっていたが,言葉の壁を乗り越えて積極的にコミュニケーションを試みる姿勢がみられた.

活動が終了した後に日越の学生間で人的ネットワークが確立されていたのはこれまでと同様である.さらにSNSで当たり前に繋がるようになったので,今後も友情が維持されていくことを期待したい.実際,本プログラムはalumniの交流が続いている.ある年のベトナム人参加者が大学卒業後に東京で働くようになり,その年の参加者が何年か後の再開として東京で飲み会をしたこともあった.皆,立派な社会人になっていて,感動した.

今回の学生たちに関しても,今後,積極的な交流が続くことを望むところである.

2023年8月6日日曜日

国際交流のすゝめ

自民党の議員を含む38名がぞろぞろと海外研修という名の遠足に出かけ,エッフェル塔の前で撮影した浮かれた写真をSNSに投稿したことが炎上した.まあ,海外に積極的に出かけていって視野を拡げることは悪いことではないし,業務の合間にちょっとした観光を楽しむことを批判するつもりはない(国際会議(学会)だってexcursionというイベントがある.そのようなイベントに参加して交流を深めるのは重要だ).

しかし,38名も連れ立って行く必要あるんか?とか,そんな団体旅行だと,国際交流は二の次になってしまわないか?とか,そもそも党費20万円+自費30万円だとか言い訳しているけれど,党費だって政党交付金という税金が使われてるぞ?とか,そもそも往復ビジネスクラス利用での渡欧だと50万円なんていう金額では行けないはずで,嘘ついてないか?とか,いろいろと指摘したいことはあるが,それらはとりあえず置いておこう.

国際情報学部とは

ところで,中央大学では,2019年に国際情報学部と国際経営学部という二つの新学部が設立された.国際経営学部は英語で行われる授業が7割,中国語のそれが2割,日本語では1割の科目しか行われないということで,日本語がわからなくても卒業できるとの立て付けである.それに対して我が国際情報学部では第二外国語の授業もなく,どこが国際なんだ?という批判を受けることがある.

しかし,インターネットはボーダレスの情報流通基盤である.国際社会を支えるITと,それを利用する際に制約を受ける社会規範である法(Law)の学習は,もはや国内に留まったものではあり得ない.その意味での「国際」であり,言語としてはLingua Francaとしての英語を操ればよい,といった姿勢に基づく「国際」情報学部である.

というわけで,国際情報学部(iTL)の私の研究室では,所属学生に対して,国際会議,国際的イベントへの積極的な参加を支援している.私も学生に背中を見せるべく,海外に積極的に出かけるように努力している.一口に海外出張といっても,国際会議に採択されるような予稿を書き,予稿を書くための研究を進め,そしてそれらを遂行するための予算を確保するなど,弛まない努力が必要なのである.

先月,2023年7月には,ポルトガルのポルト,米国サンフランシスコ,台北で開催された国際会議に続けて参加した.ポルトでの会議には,学生(学部4年生)の投稿も採択されたので,二人で参加した.学生を連れていくと,当該学生の指導,学生分の参加費の捻出など,さらなる努力が求められる(ただし,やり甲斐はある).

国際交流の意義

次の写真を見ていただきたい.

これはポルトでの会議でのsocial event,いわゆるカンファレンスディナーでのひとコマである.偉かったのはその学生で,彼女は,コーヒーブレイクやランチタイム,そしてこのディナーのときなど,積極的にいろいろな人に話しかけて愛想を振り撒いていた.

愛想を振り撒いた成果あってか,最終日に行われた彼女の発表には大勢の聴衆が集まってくれた.「Proposal for a Serious Game on the Theme of Personal Information」と題された彼女の発表は,個人情報保護をテーマにした対戦型オンラインゲームの提案である.質疑応答にもきちんと受け答えでき,学部4年生とは思えない立派な対応であった.

さらに,オランダから参加されていた先生から「英語版ができたら評価に協力したい」との申し出もあった.素晴らしい成果である.早速,英語版の作成に取り組むべく,研究グループの一員,帰国子女で英語が堪能なメンバーを,英語版作成担当にアサインしていたようである.その後の展開を見守りたい.

交流しよう

さて,本稿で言いたいことは,せっかく高いカネ払って海外に行くのだから,国際交流しないともったいない,ということである.遠足で終わらせてはならない.

台湾で行われたCOSCUPでも,夜のBoFでは,香港から来たAlex,台湾ローカルのEddieなどと,熱い議論で盛り上がった.台湾は行きやすいので,来年は学生にも発表させようか.