2024年3月28日木曜日

習慣を変え「させる」ことの難しさ

前から気になっていたことがある.京急の羽田空港第1・第2ターミナル駅で,JAL側の改札に上がるエスカレーターでの人々の行動である.

次の写真を見ていただきたい.左側の2列が上りのエスカレーターである.エスカレーターの左側に並ぶ列ができており,右側には誰も乗っていない.首都圏の駅や公共の建物でよく見かける光景である.右と左が逆になるが,関西圏でも似たような光景は随所で見られるだろう.

エスカレーター手前の床に着目していただきたい.上の写真では分かりにくいかと思い,人の流れが途絶えたところで,再度,撮影したものが次の写真である.「歩かずに2列でご利用ください」とあるのがお分かりだろうか.

ここを通る皆さんの目に,この注意書きが入っているのかどうかは分からない.エスカレーターの片側を空けずに2列で詰めて並んだほうが,このように1列で並んで片側を「誰も使わない」場合よりは効率がよいことは火を見るより明らかである.

なお,片側を「間を空けずに」歩いて上る人たちで埋められれば「2列で詰めて並んだほうが,輸送効率が高い」という主張は間違いじゃないかと常々疑っているんだがまあその話はややこしくなるので置いておく(最も輸送効率が高くなるのは2列で詰め詰めになりながら皆で足並み揃えて歩いて上るという状況のはずである……さらに「走って上る」を許すとそれが最強となる).

なぜ注意は守られないのか

話がかなり脱線したので元に戻すと,「歩かずに2列でご利用ください」という注意喚起は最近いたるところでなされている.しかし,ついぞ,守られているのを見たことがない.なぜだろうか.

一つには,染み付いた習慣が考えられよう.長年培ってきた慣習は,そう簡単には変えられないのだ.

もう一つ,勇気を出して空いているほうに立って並んだとして,後ろから歩いて上ってきた人に邪魔者扱いされないだろうかという不安もあろう.歩いて上ってくる人は,ほぼ,急いでいる(健康のために歩いて上らんという人もいるかもしれないが).キッと睨みつけられて,ときとして罵倒されかねないと考えると,歩いて上ろうという人のほうが「指示を守っていない」とはいえ,反論するのも馬鹿馬鹿しいと人々が考えるのはいたって自然である.

エスカレーターに乗る行動を変えようとしているほう(この場合は,京急側)も,この問題に本気で取り組んでいるのか疑わしい状況もある.次の写真を見ていただきたい.

注意喚起の表示を床にした後に,下り側のリノベーション作業をしたのだろうか.まるっきり意味が分からない状態になってしまっている.これではダメだろう.

どうするのがよいのか

高速道路で右に左に車線変更を繰り返して遅い車を追い抜いたとしても,目的地に着く時間は10分も変わらない,などという指摘もある.安全のためにのんびりいこうや,というのは正論,ではあるが,急いでいる人,焦っている人にその理屈は通用しない.

エスカレーターを歩いて上っている人がいたらドリフのコントのように上から金タライが落ちてくるとか,まあ,それは冗談としても,警備員を配して公衆の面前で注意を促すとか,「エスカレーターでは歩かないで2列に並んで落ち着いて乗りましょう」とアナウンスを繰り返すとか,もう少し強い刺激を与えないと,この問題は解決しないのではなかろうか.

言葉を変えれば,この問題の解決に対する行政や施設側の本気度が問われているともいえよう.ある程度の変化,2列で立ち止まる人が3割くらいにもなれば,あとは自然に行動が変わっていくはずである.それまでは,考えている以上に強いドライビングフォースをかけねば,集団行動の変化は起こりにくい,そんなことを痛感した.

2024年3月16日土曜日

沖縄研修・2024春

飯尾研春の研究室旅行……ではなく国内調査実習ということで2・3年生総勢17名で沖縄に行きました.訪問先は,琉球大学の琉ラボ,沖縄科学技術大学院大学(OIST),沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)などです.

琉ラボでは,同ラボにおけるスタートアップ支援や起業等に関するレクチャーを受け,そのあと積極的な質疑応答が行われました.

OISTではその豪華な設備や森の中に突如現れるコミュニティに,まるでZootopia!と驚きました(私も開学前の準備期間に一度訪れたことがありますが,そのときからの変化にびっくり).

最終日,ISCO訪問では,那覇市職員の方による沖縄県経済やIT振興に関する説明,ISCO山田専務による観光DXの現状等に関する講義を受けたあと,活発な意見交換が行われました.

ISCO訪問のあと,夜の飛行機で帰京する前のちょっとしたエクスカーションとして,慶良間諸島のあたりまでホエールウォッチングに出かけました.大きなザトウクジラの親子に遭遇,何度も豪快なブリーチを繰り返してくれて,見応えがありました.

(NEWS staff 撮影)