プロンポンの駅前に,夜になるといつも人だかりができている屋台がある.駅の北東側,エレベーターを降りた目の前にあるソイ39の角だ.朝から昼までは弁当を売っている場所が,夜になるとムーピンの屋台になる.
ムーピンというのは豚串のことである.正確にいえばこの店は「ムーピンの屋台」ではないかもしれない.豚串だけでなく,鶏や海鮮,野菜の串焼きなども売っている.なんて呼ぶのが正しいんだろう?どの串も,ひと串,10バーツ.リーズナブルといえばリーズナブル,プロンポンの駅前でこの価格設定は良心的といえよう.
今日は,仕事を終えて,いつものようにアソークからスクンビット通りをプロンポンまで歩いて帰ってきた.いい感じに疲れている.そうだ,ムーピンの屋台でいくばくかの串を買って,ビアシンをキューっといきたいぞ.そう考えて,例の屋台に並んでみた.
この屋台のシステムは,並んでいるなかで好きな串を選んでカゴに入れ,焼いてもらうというものである.いざ,自分の番になってカゴをもらおうと「ワッディーカッ」と店を切り盛りしているオババに元気に挨拶したら「ワンナワー(one hour)」と無慈悲に告げられた.
聞いてみると,オーダーが溜まりすぎて順番に焼いているけど,早くても1時間,いや,1時間20分はかかる,という.ちょうど最も混んでいる時間に来てしまった.いいじゃないの.待たいでか.時刻は19時15分.
なお,この店,接客と商品の陳列,焼き順のマネージメントなどをオババが一人で取り仕切り,焼きは若いおニイちゃんが担当するシステムらしい.
豚串3本,鶏,ささみ,ウィンナー,榎茸のベーコン巻き,オクラ,ブロッコリー,ヤングコーン,以上10本,100バーツを先払いして,順番待ちのチケットをもらう.
そこで,店のオババに「karai ok?」と尋ねられた.karai?なんだろう?少し間をおいて理解した.「辛い」か.日本語じゃないか.場所柄,日本人の客も多いのだろう.
唐辛子の瓶を見せられた.マイペンライ.辛いの歓迎,スパイシー,ウェルカムだ.「ペ・マクマーク・ナ」と応えた.ドカンと辛くしてくれや!という意味である.オババは目を丸くしていたが,ドンと来いである.
銭湯の洗い場にあるような小さな椅子に腰をかけて,ひたすら待った.この椅子,東南アジアでよく見かけるというか,ベトナムのビアホイと呼ばれるローカル居酒屋で道に張り出して出ているテーブルでよく見るやつとほぼ同じ.どこにでもあるなあという感じだ.
ふと横をみると,焼き待ちのキューが出来ている.焼かれる具材のカゴが順番に並べられているのだ.なにこれ,この人は肉ばかりだとか,なかなかバランスのとれたチョイスで好ましいとか,あるいは,野菜中心にオーダーしてる人もいるんだなあとか,見ているだけでも楽しい.自分のカゴを追いかけて,あとどのくらいかな?などと想像するのも面白い.
そうこうしつつ,スマホでちまちま遊びながら待っていたら,声をかけられた.焼けたよ,と.時刻は20時30分.ほぼ1時間20分経っている.オババの読みが正確で驚いた.
カップに入れられた焼きたてのほかほかしている串を持ち帰り,さっそく,自宅でビアシンをグビーっと.至福のひとときである.ごちそうさまでした.









