サイアムのCentralWorldに入るのに難儀した話の続きである.
無事にCentralWorldで用を足したはいいが,とにかく人混みにあたってしまった.帰れなくなっても困るし,とりあえずプロンポンまで戻ろう.そう決意した私はサイアム駅を目指して歩き始めた.
チットロムとサイアムの間には,ワット・パトゥム・ワナーラームというお寺がある.そういえばタイに詳しい某先生が「お寺にも行ってみるといいよ,面白いから」と言っていた.
境内をのぞいてみると,夜店が出ている.それだけでワクワクする.日本では神社の境内に夜店が出るが,こちらではお寺に夜店が出るらしい.買い食いすればよかったかな.腹は減っていなかったので,自制する.
よくみると,巨大な藁苞のような場所に,お札を挟んだ箸のようなものがたくさん刺さっている.多くは20バーツ(100円相当)札だが,たまに50バーツ札や100バーツ札が混じっている.これは初めて見た.年末年始だけのお賽銭みたいなものだろうか.
いろいろ珍しいものを見た.サイアム駅は混雑していたが,どうにもならないというほどではなかった.そのようにして,プロンポンまで戻ってきた時点で23時である.
プロンポン駅の周辺では,周辺のビルの屋上あたりからのサーチライトが,これでもか!という具合で夜空を照らしていた.もはや何でもアリのご様子.シリキットさんの喪に服すという話はどこへいっちゃった?という具合である.
ところで,サイアムほどではないものの,プロンポン駅前でもイベントをやっており,かなりの人出があった.タイのアーティストがステージで楽曲を演奏している周囲は相当な人混みになっている.反対側は,まだ余裕がある感じだった.反対側には大型ビジョンでの中継に皆が見入っている.
ところが,皆が大型ビジョンの中継を見ているかというとそうでもなかった.なかには反対側を向いて座り込んでいる人たちもいる.私はそれを見てピンときたね.ひょっとしてここは花火の特等席なのではなかろうかと.
その直感は大当たり.24時の10分ほど前になり,気がつくと私の後ろにも人混みが迫っており,まさに黒山の人だかりという状況になっていた.プロンポンでこれだから,サイアムにいたらどんなことになっていたことか.
そうこうしているうちに,遠く,サイアムの方向から花火が上がっているのが小さく見えた.ああ,サイアムにいたらカウントダウン前から花火を楽しめたのね.まあ,ええですよ.
などと考えていたら,目の前にあるベンチャシリ公園からたくさんのドローンが飛び出してきた.おー.
ドローン部隊が飛び出してきたのをぼーっと見ていたら,そいつらが大きな数字を作って,10, 9, 8, …… とカウントダウンを始めた.向こうではビルに照らしだされたプロジェクションが,同じくカウントダウンを始めている.数字がずれているのは,マイペンライ.
いずれにしても,カウントダウンが終わったら,こちらでもババババッと花火が上がりはじめた.ビルの屋上から打ち上げているらしい.綺麗なのはいいが,かなり喧しい.まあ,喧しいのもニューイヤーイベントらしくていいか.それはそれとして,真上でぼんぼん花火を打ち上げるものだから,灰が降ってくるのはいかがなものか.
いずれにしても,バンコクの年越しは,噂に違わず派手でエキサイティングなイベントだった.いい経験ができた.皆さんも来年の年越しはよかったらどうぞバンコクにお越しください.鬼が笑うか.

