2021年4月14日水曜日

IT業界,温故知新(4)

 Take IT Easy記事を振り返るシリーズ第4回.前回はこちらをどうぞ.

並列化するコンピュータ(1999年12月14日)

パソコンでも並列マシンが増えてきたよという話.振り返ってみると95年前後のRWC(Real World Computing)プロジェクトで並列コンピュータ関連の仕事にどっぷり浸かることができたのはいまから思えば幸いなことであった.当時は「えー?つくばですかー?」といやいや作業に出かけていたのだが.当時はTX(つくばエキスプレス)なんて素敵なものはなく,車で出かけてビジネスホテルに泊まり込みで月〜金の館詰め,集中作業をしていたのだ.

そんな想い出話はさておき,この記事に出てくる数値が可愛らしいのはご愛嬌.処理速度,1GHzの大台に乗るのも時間の問題って可愛いな.

いまこの記事を書いているちょっとしたノートPCにしても,CPU数こそ1個だが,コアは4つある.ソフトウェア的には物理的に4つのスレッドまでタイムスライスではない「本当の」並列同時実行が可能ということだ.

高性能サーバ機であれば32コアとか64コアとか,あるいはそれ以上,いわゆる「メニーコア」と呼ばれる機器が普通に使えるようになっている.それぞれの信頼性も高まっているのだろう.これまた昔話になってしまうが,そのRWCのプロジェクトでは,64ノードのインテル製並列コンピュータ「パラゴン」を使っていた.2のべき乗の単位でアプリに演算ノードを割り当てることができるのだが,たいがい1個2個壊れていて,32ノードは実行できても全部使う64ノードは調子がいいときしか実行できなかった,なんて笑い話,今となっては信じられないよねえ?

パソコン要不要論(2000年1月25日)

続いて,汎用的なパソコンなんて結局使いづらいから,専用機にしちゃえば?という予想.これは大ハズシ,といったところか.

まあしかし,「会社から支給されているパソコンてアプリのインストールもできないし,USBデバイスは接続できないように改造されちゃってるし,セキュリティの関係で会社のネットワークにしか繋げられないんですゥ」という可哀想な話はたまに耳にする.そんな不幸な状況を予測したわけではないが,ディストピア的に当たってしまっているともいえなくはないかな?はなはだ残念な解釈ではあるが.

機械と対話する〜マルチモーダルインタフェース〜(2000年4月11日)

ほぼ月イチで書いていた記事だったのが,ずいぶん日付が飛んでいる.何があった?と思い起こしてみれば,このあたりから執筆チームのメンバを増やして,大勢で書くようにしたんだっけ.当時の負担はだいぶ楽になったはず.

さて,今でこそ「人間と情報システムとのインタラクション研究」をゼミのテーマに掲げて研究を進めている飯尾だが,その下地はこのころに既に培われていたということが分かる記事である.それまでは画像処理や信号処理,あるいは,並列コンピュータ,ソフトウェア工学的な仕事をしていたが,本格的にユーザに目を向け始めたころ,転換期がちょうどこのころであったらしい.

今でこそiPhoneを手放さない私が「携帯情報端末を持たない私」なんて書いているのも,お茶目ではある.まあ,昨今,「オンライン講義だけじゃダメでやっぱりF2Fの対面コミュニケーションが『コミュニケーション論の観点からも』重要なんだ!」と吠えている信念は,20年かけて育ってきたんだなあとしみじみ思った次第.この数年後,別の仕事でコミュニケーション学をかなりマジメに勉強して,私個人としてはいよいよ社会科学の素養を深めていったのだが,それはまた別の話.

第5回に続く.



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