2021年11月28日日曜日

研究会のオンライン化がもたらしたDX

年2回,春(5月末〜6月頭頃)と冬(11月末〜12月頭頃)に開催しているHCD研究発表会が昨日開催され,無事,終了した.2020年の春開催から,都合4回,オンライン開催を強いられているわけだが,HCDコミュニティという性質もあり,やはり,対面での開催を望む声が強い.ただし,地方から参加している一定数の参加者からはオンライン開催を望む声もあり,次回以降,対面で開催することができるようになったとしても,オンラインを併用するハイブリッド開催は必須となろう.

イベントオーガナイザの工夫

研究会をオンライン開催するにあたり,当初はセレンディピティの確保を目的として開発したイベントオーガナイザOLiVES(飯尾, 2021)だが,なんとなしに取り入れたちょっとした工夫がとても有効に機能するようになった.それは,Google Formと連携した発表評価のシステム化(飯尾・辛島, 2021)である.

評価者にはあらかじめOLiVESにアカウント登録してもらう必要があるが,評価者ロールを与えられたアカウントでOLiVESにアクセスすると,発表詳細のページに評価シートへのリンクが出現するようにしている.そこをクリックすると,評価者名と発表タイトルが埋め込まれたGoogle Formが現れるという仕組みを作り込んだ.それにより,評価者はほぼ瞬時に発表を評価することができ,さらに,前向きな評価コメントもパパッと書き込むことができるようになった.

もたらされた効果

この工夫によりもたらされたメリットは2点ある.

一つの大きなメリットは,発表の評価を瞬時に計算されるようになったことである.

研究発表会を対面で実施していたときは,評価は紙のシートに書き込むことで実施していた.したがって,最後の発表が終わり,そのあとの表彰式を行うまでに,特別講和なる20分ほどのセッションを行い,集計の時間を稼ぐということをしていた.そのため,表彰式と閉会式を待たずしてパラパラと帰宅を始める参加者がおり,若干,しらけたムードが出ていたことも事実である.

しかし,Google Formsを利用して評価するようにしたことで,この時間稼ぎが不要になった.最後の発表者が高い評価を受けそうだという場合は少し慌てることになるが,今回は,早めに投票を締め切った優秀ビデオ賞の表彰で時間を稼いだことにより,ワンオペでもなんとかなった(図).

発表者へのフィードバック

もう一つのメリットは,評価者がコメントを書く敷居が下がったことである.これは評価者だけでなく,参加者もチャットで質問やコメントを書き込むことで意見を出しやすくなったような印象を受けている.

せっかく集められたコメントなので,前回の研究発表会から,発表者に対して全てフィードバックするというサービスを始めた.評価者に対しては,発表者に対して意義のあるような前向きなコメントを出すように求めた.

HCD-Netの研究事業をどう活性化していくかは我々のミッションであり,その活動の一環として,発表者に対しては,発表してよかったなと思える研究発表会にしたいと考えている.

参考文献

  • 飯尾淳(2021)オンライン・バーチャルイベント支援システムの開発と運用, 国際情報学研究, No. 1, pp. 1-20.
  • 飯尾淳, 辛島光彦(2021)研究会がオンライン化されてどうなったか?, 人間中心設計推進機構 2021年春季HCD研究発表会, pp. 15-18, オンライン

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