蛸足大学における全学部横断的オンライン演習を,どうやれば円滑に実施できるだろうか?という挑戦の続きである.
PC教室にあるような,各学生の画面を一覧でチェックするようなソフトウェアがあるといいよね?という提案に対して,それOBSでできるよ,つまり,各学生にOBSをインストールさせ,画面を映し出すようにすればよいよ,というアイデアをいただいたので,実際に試してみた.上の図はそのときの様子である.9名の学生を対象としてトライしてみたが,1名がPCではなくiPadを持参してきてたため,その時点で脱落.残りの8名で実施した.
なお,中央上部に写っている私の顔がマスクをしているのは,教室で集合して実施する対面型演習で試していたからである.この作業を遠隔で指導しながらやるのは,できなくはないだろうけれどとても大変だろうということが想像される.実際にやるのはオンライン演習とはいえ,最初は集合してセットアップするしかないかなというところだ.
OBSのインストールとZoomへの接続
OBSのインストールに関しては,全員,ほぼ問題なくインストールでき,使い始めることができた.手順としては,次のとおりである.
- OBSをインストールし,起動する
- OBSで画面キャプチャして仮想カメラに配信する(ソースとして画面キャプチャを選び,コントロールで「仮想カメラを起動」をクリックする)
- Zoomを起動し,ミーティングに接続する
- Zoomのカメラを「OBSの仮想カメラ」に切り替える
これで,学生は自分のデスクトップ画面をZoomに配信することができ,教員は,リモートの学生が何をやっているかをリアルタイムでチェックすることが可能になる.
数名,Macの利用者が「画面キャプチャができません」「OBSカメラが出てきません」など,ちょっとしたトラブルに遭遇した.設定で迷うところや,トラブルシュートのポイントとして気がついたのは次の点である.
- OBSの設定で聞いてくる質問は「仮想カメラとして使用」を選ぶ.あとは「次へ」を順次クリックしていけばよい
- コントロールパネルのセキュリティ設定で,画面キャプチャや各種デバイスへのアクセスをOBSに対して許可する設定を忘れないようにすること
- OBSでの設定が「終わってから」Zoomを起動すること.この手順が前後すると,OBSが提供するカメラをZoomが認識しない
- Zoomではバーチャル背景をオフにする
- 全ての設定が終わったら,OBSとZoomのウィンドウ自体は「最小化」しておく
あと,OBSの画面キャプチャで,最近のMacはRetina Displayのせいか画面解像度が高く,デフォルトでは画面キャプチャサイズとOBSの画面サイズが合致しない.左上の赤四角をドラッグして,画面サイズを適切に合わせる作業も必要だった.これ,OBSを起動するたびにやり直さなければならないようだけれど,なんとかならないのかな……
使い勝手と課題
解像度が十分だろうかという心配はあった.実際に学生たちが作業している状況を観察してみると,「何をやっているかは,なんとなくわかる」という感じ.
詳しくみたいときは,表示をスピーカービューに切り替えたうえでピン留め機能を使い,対象の画面をセンターステージに大きく表示させればよい.若干,ぼやけた画面にはなるが,文字を十分に読み取れるだけの情報は得られる.
順番に「ピンを置き換える」という手順で,巡回してみて回ることもできる.ただし,誰をチェックして誰をチェックしなかったかが分からなくなってしまうのは,別の手段を考えないといけないかも.教室だと端からチェックしていけばよいが,オンラインだとそもそも席に付いているという概念がないし,そのへんがあやふやになってしまう.
また,この方法だと受講学生自身の顔を確認することはできない.音声は通話できるのでそれでもいいと割り切るかどうか.OBSの機能を使い,画像キャプチャの上にカメラ画像を重ねることもできるので,やろうと思えば受講学生の顔と学生のデスクトップ画像を重ねること「は」できる.しかし,それは,本質を見誤る恐れがある.ここまでの手順が相当に複雑なので,慣れるまではこれ以上難しくしないほうがよいだろうというのが現時点での感触である.
あとは,Zoomのギャラリービューでは1画面に写す人数をコントロールできない点も課題になるかも.今回は,9分割で,ほぼちょうどよい大きさだったが,25人あるいは49人という大人数が参加するギャラリービューだと,それぞれのサムネイルでは何をやっているかを判断することは難しいだろう.
さらに,今回は教室で実施したためネットワーク帯域的には何ら問題のない状況であった.これが,遠隔になったときにどのような影響が出るかは未知数である.
追記
TfabTile というウェブサービスで似たようなことが簡単にできるということを知った.うーん,たしかに簡単,ちょっとタイムラグがあるな.フリーミアムな有償サービスなので,予算が潤沢であればこちらを利用する手もあるかもしない.
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