東京で生活していたときの私は,タクシーをほとんど使わなかった.東京は公共交通機関が過分に発達しているので,電車とバスで,ほぼ,どこへでも行けてしまうからだ.
しかし,こちらでは若干,状況が異なる.バンコクの都心部はBTSやMRTといった電車の路線網がそれなりに主要なエリアをカバーしているので,電車だけでもそこそこ移動できる.ところが,KMITLのキャンパスがあるラカバン地区では,そうもいかない.
KMITLのキャンパスの中央をタイ国鉄,SRTが東西に突き抜けており,中心部にプラーチョムクラオ,東の端にフアタケーという二つの駅がある.それは便利だろうと思いきや,このSRT,一時間に一本ないという頻度でしか走っておらず,しかも,時間通りに来ない.
畢竟,それ以外の公共交通機関に頼ることになるが,外国人にとってバスが使いにくいのは世界中どこに行っても同様で,何度か乗ろうと試みたことはあるものの,まだ,足として使いこなすには至っていない.
タイにはバスの他にもソンテウという小型バス,というか,トラックの荷台を乗客用に改造した,フィリピンでいうジプニーのような乗り物もある.これも,路線がどうなっているのか,乗降のタイミングはどうなっているのかなど,地元民に教えてもらわないと使いにくい.KMITLの学生に教えてもらえばよいのだが,今はちょうど期の変わりの休暇期間に入っており,それも叶わない.
ところでソンテウには安全性にかなり問題があるような気がするのだが(写真),落ちたら落ちたで,そのときはそのときだ,とでも思って乗っているのだろうか.マイペンライ?
そんな状況なので,とくにラカバンに引っ越してからはタクシーを利用する機会がグンと増えた.こちらのタクシーはかなり安く,ARLのラカバン駅からKMITLまで,5km程度乗車して,70バーツ前後,およそ350円である.したがって,経済的にはそれほど贅沢という感じはしない.ただし,タクシーに乗るとき,コミュニケーションが必要なのが若干のハードルとなる.運転手に行き先を告げなければならないからだ.
バンコク市内であれば,タクシーの運転手も慣れたもので,英語が通じる場合が多い.英語を話す観光客が多いからだろう.しかし,ラカバンでは英語が通じない確率のほうがはるかに高い.一度だけ,全く意思疎通ができず,乗車を諦めたことがあった.大学を訪れる外国人は多いだろうに,皆さんいったいどうしているんだろう.
この問題を一気に解決して快適な移動を提供してくれるサービスがGrabである.米国でUberが先行したITを駆使した配車サービス,東南アジアではGrabが席巻している.なにしろ目的地はスマホの地図で設定すれば運転手と共有されるので,会話を一切しなくても,どんな目的地でも連れていってくれるという素晴らしさ.
もっとも,最初にワッディカップ,あるいは,降りるときにはコップンカップと,最低限の挨拶くらいはしている.このくらいのタイ語ならもう自然に出てくるようになったしね.
それにしても,Grabの運転手も千差万別で,先日,からワット・パークナムまでGrabを利用した際に,行きの運転手は堪能な英語で饒舌に喋りまくってきた.曰く,「なんでタイ語を話すんだ?こっちに住んでいるのか,大学の先生か?うちの娘もITを学んでいるんだ,教えてやってくれないか」といった具合である.かと思うと,帰りの運転手は寡黙で全く喋らず,最後の降車時に「Thank you」とひと言喋っただけだった.
ところで,タクシーに乗り込んで行き先を言う際,運転手さんに「KMITL」とか「キングモンクットうんちゃらかんちゃら」と説明しても,まったく伝わらない.しかし「てくのーらかばん」と言えば一発OK.そういうローカルルールは教えてもらわないとわからないが,はてさて,私はどうしてそれを覚えたんだっけ?何度か苦労してやりとりしているうちに「おー,てくのーらかばん!」って運転手さんが応えたことがあって,それで認知したんだっけかな.
Grabは,お会計もクレジットカードでネット決済の明朗会計,タクシー利用にありがちな金銭トラブルは一切ない点もよい.メータータクシーよりは,若干,割高ではあるが,観光地や深夜のスワンナプーム空港に跋扈しているメーターを使わない雲助タクシーよりは安全で,安心できる.

0 件のコメント:
コメントを投稿