日本はゴールデンウィークということで,東京からムスメとその友達2人がバンコクに遊びにきた.ムスメは学生時代に何回かバンコクを訪れたことがあるらしいが,お友達は初めてとのこと.しかもそのうち1人は初海外だとか.
初めてのバンコク観光ならとりあえずは三大ワット(三大寺院)と王宮かな?と,巨大な涅槃仏のあるワット・ポー,エメラルド寺院として知られるワット・プラケオ,そして暁の寺ワット・アルンを訪れてみようということになった.
これらの寺院と王宮は歩いて回れる距離にある(ワット・アルンは川を渡る必要があるが).最寄のサナムチャイ駅まで地下鉄に乗って行き,さて,どの順番で回るべきかと思案した.駅から最も遠いワット・プラケオまで車で行って,散策しながら戻ってこようかと考えた我々は,どうせならトゥクトゥクでも乗ってみようかということにした.
私も実はトゥクトゥクには一度も乗ったことがない.あれは観光客の乗り物だ.少しくらいぼられたってかまやしない.観光料金と思えば安いもの.
そこで,駅の出口に屯しているトゥクトゥクのドライバーに声をかけてみた.すると,そのドライバーは「これ,アプリで予約するやつだから,まずアプリ使って」というじゃないか.びっくりである.トゥクトゥクもDXが進んでいるらしい.
「どうしよう,Grab呼べるかな?」などと相談していると,いかにも怪しいひとが地図を片手に声をかけてきた.曰く,「イマ11時30分デショ,オ寺ハ13時マデ昼休ミダカラ」と.寺は昼休みの時間で入れないから我々のトゥクトゥクに乗って水上マーケットに行ったほうがよい.ひとり10バーツで,40バーツだけでいいから……などと調子のよいことを言ってくる.
ワットが昼休み?そんなん聞いたことないぞ?
いかにも胡散臭さすぎて,もう怪しいやつ確定.「じゃあまず最寄りのワット・ポーに行って本当に昼休みかどうか確かめればいいよね」と,連中を振り切って歩き出した.
案の定,昼休みになっているなんてことはなくて,ホイホイ話に乗らなくてよかったねと一安心した.調べてみると,その手の詐欺に要注意とあった.
もしあの怪しげなトゥクトゥクに乗ってしまっていたら,はたしてどうなっていただろうか.私一人だったら走って逃げてどうとでもなったろうが,土地勘もない若い女の子たち3人を引き連れてだと,なかなか困った状況になっていたかもしれない.くわばらくわばら.
だいぶ昔,まだインドはニューデリーには地下鉄が一本も走っておらず,公共交通手段としてはバスしかなかったころ,ニューデリーに出張してかなり困った状況に陥ったことがある.
中心部にあるコンノートプレイスという場所に行ってくれと,オートリクシャー,インド版のトゥクトゥクみたいな乗り物に乗ったところ,「今日は海外の要人が来ていてコンノートプレイスまでの道は全て封鎖されている.だからこちらに行く」と,無茶苦茶なことを言われて全くわからない場所に連れて行かれたことがあった.
なんということはない,着いたところは土産屋の裏口である.彼らは口を揃えて言うのだ.「政府公認の土産屋に行こう.運賃はいらないから」と.
おそらくカモを一匹連れていくと多額のキックバックがあるのだろう.そんな店に連れて行かれようものなら,何を買わされるかわからない.噂では10万円の絨毯を買わされた話なども聞いた.いやはや,恐ろしい話である.
車を降りた私は10ルピー札を投げつけて,走って逃げた.当時はスマホもなかったので,見知らぬ街角にほっぽり出されて,どうしたものかと途方にくれたものである.
太陽の方角と野生のカンだけを頼りに,こちらのほうかなと歩き出した.しばらく歩いたらなんとなく記憶にある光景が見えてきて,結果としてなんとかホテルに戻ることができたものの,かなり冷や汗をかいた.暑いインドで.
写真は翌日訪れたワット・パークナムの巨大な金ピカ大仏.2021年に建立されたものだそうで,まだ,比較的新しく,光り輝いている.電車の窓から何度も見ているのでわざわざ行くこともあるまいとは思っていたが,来たら来たでそれなりに面白かった.
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