郵便局にレターパックライト370を買いにいった.ところが,固有名詞が咄嗟に出てこない.窓口のお姉さんに向かって「あれください,アレ.……,あの,青いやつ……」とジタバタ.
みっともないことこのうえないのだが,それでも通じるから,人と人との対話ってすごい.
ノンバーバルコミュニケーションの情報量
さて,あの……あの……とアタフタしていたときに,手では必死でA4サイズ程度の四角形を空中に描いていた.レターパックのイメージである.
このジェスチャーでの情報伝達も含めて,無事に「レターパックを買いたい」という意図が伝わり,さらに「青いやつ」という意思疎通から,安いほう(レターパックには安いほうと高いほうの2種類あり,高いほうは赤いのだ),所望のそれを手にすることができた.もう,ノンバーバルコミュニケーション万歳,というしかない.
まあ,この例はかなり極端な例ではあろうが,オンライン講義やオンライン会議などで情報伝達のバンド幅が狭められている状況では,なかなか非言語的情報を伝えられないところがもどかしいところではある.
「ろくろ」とは
ジェスチャーの話で思い出すのは,「ベンチャー企業やITの業界人はインタビュー記事で必ず『ろくろ』を回している」という話である.10年ほど前に話題になっていただろうか.
ご存知ない方のために簡単に説明すると,新進気鋭の業界人やベンチャー社長たちは,インタビュー記事などに写る写真で,必ずといってよいほど「ろくろを回しているようなポーズ」をとっている,というものだ.ろくろを回しているようなポーズとは,両手を前に出して,空中で陶芸作品をこねているようなポーズのこと.誰かが言い出して,一時期,とても話題になった.いまでも,「ろくろを回す」と「IT業界」といったキーワードの組み合わせでネットを検索すると,話題になっていた当時に記された多数の記事を読むことができる.
「IT社長はなぜ『ろくろ』を回すのか」など,理由を推測するような記事も多数みつかるが,ざっと目を通してみると,やれ不安だからだとか,カッコつけてるからだとか,まったくもってテキトーなことばかり並べていて,どれも的外れ.真実をひとつも言い当てていない記事ばかりで困ったものである.
ろくろの正体
ではここで,ろくろの正体を私が明らかにしてしんぜよう.ずばり,彼らのろくろは「エアオブジェクトである」と断言する.
動画で検証してみるとよい.多くの人は,空中にモノを想定するときに,この所作をする.より具体的には「ここにAがあって,Bがあって,Cがある」などと説明するときに,両手でモノの輪郭を表現するような操作をするのだ.上記のABCの例だと,両手で3つの何かを空中に並べるはずである.
それを写真という瞬間で切り取ると,ろくろになる.幽霊の正体見たり,枯れ尾花.解説しちゃうと,実につまんない話でしかない(ろくろ社長に憧れていた皆さんには,ゴメンなさい).
だいぶ若いときの写真で恐縮だが,私もずいぶん大きなろくろ回してた.たしか,このときは段ボール箱程度の物体を空中に描いていたはず.経験者は語る.
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