異文化の社会で暮らしていると,生活のなかの些細な出来事で日本のそれとは勝手が違い,戸惑うことがある.そんなちょっとした体験談を紹介したい.
まず,水のペットボトル,スーパーで買ってきた2リットルのペットボトルである.次の写真をじっくり眺めてみてほしい.何か気付かないだろうか?
注目してほしいのは,キャップの部分である.よくみると,半分濡れていることがわかるだろう.そう,水がギリギリまで並々と詰められており,溢れんばかりの状態になっているのだ.これを知らず,日本や欧米諸国でのそれのように,少しゆとりをもって水が入れられているつもりでキャップを開けると,まず,こぼす.そして最初にコップに注ぐときがとても難しい.わかっていても,たいがい,こぼす.
この銘柄だけでなく,他の2リットルの水を買ってきても同じだった.とにかく詰めるだけ詰めようという強い主張が感じられる.
短期の出張や旅行だと,小さなペットボトルに入った水がホテルの部屋でサービスとして提供されることも多く,なかなかこのサイズの水を買うことがない.したがって,このサイズのペットボトルにギリギリまで水が入っているということを知っている日本人は少ないのではなかろうか.私は知らなかった.なので,何回か,こぼした.
というか,最近はもう慣れたけれども,わかっているくせに,こぼしてしまう.どうしたものだろう.
次の話題は,コンビニでのひとコマである.
これまたわかりにくくて恐縮だが,次の写真には,日本のコンビニのレジカウンターには無いものが一つ,映っている.わかるかな?
ストローや爪楊枝のようなものに囲まれている中に,白い柄のようなものが見えるだろう.これは何かというと,栓抜きである.
日本では王冠で蓋をした瓶飲料を扱う機会が激減した.いま日常的に栓抜きを使って開けるものといえば,居酒屋の瓶ビールくらいだろうか.しかし,ここタイではまだ瓶飲料も多く流通している.
日本で私はガス入りの水をよく飲んでいたので,引っ越し直後にスーパーに買い求めに行った.ところが,ペットボトルで販売しているそれは,ペリエだのサンペレグリノだの,輸入品の高級なものしかない.一方,シンハーが出している庶民向けの炭酸水があるのだが,瓶なのだ.そして我が家にはまだ栓抜きがない.なので,手を出しあぐねているというところである.
今回こちらに来るにあたり,日用品を忘れずに持ってこようと気にしてはいたものの,さすがに栓抜きは気付かなかった.爪切りは必要だろうとしつこく考えていたら,スーツケースのなかに一つ,ショルダーバッグのなかに一つと,二つも持ってきてしまった.しかし,耳かきを持ってくるのを忘れた.栓抜きも,持ってこなかった.なかなか難しいものである.
話がおおいに脱線してしまったので元に戻そう.コンビニのレジカウンターに,栓抜きが置いてあった話である.
コンビニでレジの列に並んでいたときのこと.隣のレジに並んでいたお兄さんが,瓶飲料を差し出した.会計を済ませた後,彼はその栓抜きを取り上げ,瓶の栓を開けた.ああ,いまここで飲むんだな,と思いきや,すかさず,開けたその王冠で再び蓋をしたのである.
あまつさえ,蓋をしたその瓶をポケットに入れて,颯爽と去っていった.そういう使い方するんだ!
たしかに,一度,栓抜きで開けた王冠なら,後から手で開けることだってできそうではある.しかし,そんな閉め方して,こぼれたりしないんだろうか.日本だと考えにくい出来事で,ちょっと驚いた.


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