2025年11月21日金曜日

似たような文字が多くて悩ましい問題(お気楽クルンテープ通信 No. 13)

バンコクで生活を始めて1ヶ月が経った.日常の業務をこなしつつも,タイ語の勉強を独学で進めている.まずは書いてある文章を読めるようになるべく,文字を毎日一つずつ,ゆっくりと憶える努力を続けてきた.

タイ語の文字は,子音が44個,母音が32個ある.ただし母音はいくつかの組み合わせで32個として表されているので,憶えなければならない形は若干減る.

しかし,どちらかというと,子音44個のなかに,似たような文字,いや,激似の文字たちがたくさんあるのが曲者なのだ.丸くくるりんとなっている箇所が上を向いているか下を向いているかとか,上がちょこんと欠けているか欠けていないかとか,ぐっと上に向けて払う棒を上まで伸ばすか途中で止めるかとか,ほとんど同じ形なのにチョンとダッシュが追加されているかいないかとか,ビミョーな違いがたくさんある.

日本語にも,「め」と「ぬ」,「れ」と「わ」,あるいはカタカナの「シ」と「ツ」,「ヌ」と「ス」など,微妙な違いはある.それらの違いもなかなかのものだから,外国人がよく間違えているのを笑えない.しかし,タイ語のそれは,もっと微妙な違いが多すぎて,いやはや,憶えるのもけっこうしんどい.

なかなか憶えられないので,頑張って憶えられるようにと暗記帳のアプリまで作ってしまった.作ったアプリはStreamlit Community Cloudというプラットフォームで公開しているので,タイ語の子音を真面目に憶えたい日本人は使ってみてほしい.

アプリは https://thaicharacters.streamlit.app/ で試せる.

文字の読み方を憶えるには,MRTやBTSの駅名表示を追いかけるのがよい.たいがい答えがローマ字で書いてあるので,ローマ字との文字の対応を考えながら一つ一つ,確認できる.

ハングルを勉強したときは,同じようにして街の方向案内標識や距離標識も参考にした.方向案内標識は,右に曲がるとどこ,直進だとそこ,左折すると何々,というような交通案内標識のことで,距離標識とは,どこそこまで何キロという情報を示す標識のことだ.

ハングルはシステマティックに作られており比較的簡単に憶えられるので,ソウルの街中を3日散歩しながらキョロキョロした結果,ほぼ全てのハングルを憶えられた.さらにハングル一文字が漢字一文字に対応していることを考慮しつつ,似たような発音を日本語から探し当てれば,意味を取るのもさほど難しくない.日本人なら韓国語は簡単に読めるようになるので,第三言語の習得対象としてオススメである.

タイ語の場合は写真のような感じになる.母音が上に置かれたり下に置かれたり,はたまた左側に配置されたりするので若干ややこしいが,なんとなく下に書いてあるローマ字との対応はつくようになった.ただし,私のタイ語スキルではまだ不十分なところもあり,なんでローマ字だとそういう読みになるのかが全くわからない部分も,まだ一部,残っている.

このようにすれば,タイ語でも韓国語と同じように,少なくとも文字を「読める」ようにはなるはずだ.もっとも,声調があるので正しく発音できるかどうかが大きな課題として残されている.これは,文字を全て憶えてから,次の段階に進むことにするつもり.

ところで,かつて,交通標識を見て練習しようとしていたときに,こんなことがあった.

郊外のナコンパトムに出かけた帰り道でのこと,高速道路を走るバンの窓から,いつものように距離標識を眺めていた.バンコクに近づくにつれて,「バンコクまで何キロ」との表示が増えてくる.

ローマ字でBangkokと書いてある表示の頻度が増えてきたのだが,どうもおかしい.当時は今よりもまだ文字の判定が覚束なかったが,それにしても,どう考えても,Bangkokの上に書いてあるタイ語をバンコクと読めようがないことくらいは理解できた.

はたして,そこにはバンコクではなく,クルンテープと書いてあったのだ.そう言われてみるとクルンテープと読める.

タイの皆さんはバンコクのことをクルンテープと呼ぶ.日本人が自国のことをジャパンと呼ばずニホンないしはニッポンと呼ぶようなものか.このクルンテープ,正式には,クルンテープ・マハナコーン・アモーンラッタナコーシン・マヒンタラーユッタヤー・マハーディロック・ポップ・ノッパラット・ラーチャタニーブリーロム・ウドムラーチャニウェートマハーサターン・アモーンピマーン・アワターンサティット・サッカタッティヤウィサヌカムプラシットという.想像の遥か斜め上を超えて,長い.

それはともかくとして,まさに,私が編み出した交通案内標識ローマ字確認メソッドが敗れた瞬間であった.

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