2021年2月7日日曜日

ペンタブの利便性を実感

講義のオンライン化に伴い,黒板(白板)への板書をデジタル化すべくペンタブを導入したことは,2020年度のオンライン対応が始まってごく初期のころに報告した(2020年5月).1年間使ってみて,投資はまったく無駄ではなかったどころか,それまでの喰わず嫌いを深く反省するほどその効果を実感している.

何に有効だったか

当初の予定通り,板書代わりの利用は大活躍であった.うまく利用するコツは,オンラインミーティングツールに備え付けのホワイトボード機能を使うのではなく,別のお絵描きアプリ等を画面共有することである.私はMS OneNoteを活用した.このソフトウェアはお絵描きソフトというわけではないが,さらぴんの白い画面にペンタブで落書きをすることができ,自然なタッチで絵や文字を描ける.

また,採点されたレポートに赤を入れて返す,という作業もとても効率的にできた.Wordの校閲機能でもよいのだが,そこは歴史ある校正記号でまっかっかにしたほうが視覚的にもインパクトがあり教育効果があるのではないかという期待もある(比べてみたわけではないので,あくまで主観だが……).校正記号に関しては演習でひととおり指導した.まあ,それほど難しいものでもない.

なお,提出手段を指定しないとWord文書で出したりPDFで出したりと学生は自由奔放にいろいろなファイル形式で提出してくるが,Word文書は「OSXのFinderで選択した複数のWordファイルをPDFに変換するAppleScript」を参考にしてPDFに一括変換した.Windowsだと相応のソフトウェアをインストールしていれば,コンテキストメニューから一括変換できるのかな?(ごめんなさい,Windowsは常用していないので知らない ※).PagesやLibreOffice Writerなどで提出した学生もいたので,それは個別に対応した.

本の校正にも便利

講義や演習の話題からは逸れるが,本の校正作業でもペンタブを導入した有難みを感じた.

以前,プロの編集者から「やっぱり最後は紙でやらないと校正のミスが多い」という現場の声というか,実情を聞いたことがある.そのときは「そんなもんかなあ.まあ,そうだろうなあ」と思ったが,これはなんというか,不十分なデジタル化がそのような結果になっているのではないだろうか.


ものすごく大雑把ながら,紙とペン,PDF(マウス操作),PDF+ペンタブ,という3つの環境について比較表を記してみた.

操作性の比較

まず,操作性について.これは間違いなく慣れている従来の紙と赤ペンに軍配が上がる.高解像度ディスプレイによってだいぶ追い付いたとはいえ紙の解像度はまだ優位性があるため細かな作業をそのまま(拡大せずに)できる点は紙とペンの利点であり,さらに,細かい作業から大きなマル付け(段落の移動など)まで,作業のダイナミックレンジも広い.「そのひと手間」が意外と精神的な負担になることは皆さん日々の作業で感じていることだろう.

単純なデジタル化,PDFをマウスなどで操作するケースは,残念ながらここに大きな課題が残されている.表では甘く△を付けたが,ペケでも致し方ないかもしれない.この操作性の悪さ,そして小さなディスプレイだと一覧できないことによる校正漏れなどが,編集者氏が言っていた校正ミスに繋がっているだろう.ここは,ペンタブないしは液タブの導入で大きく改善されるところである.かなり改善されるが,これで完璧!というほどでもないので,◎ではなく◯にしておいた.

検索性とその他の利便性

検索については,これはPDFに軍配が上がる.電子書籍等でも同じことが指摘されているように,デジタルコンテンツは「検索できる」というアドバンテージを持つ.この機能は,校正作業を受けて修正する作業において効果を発揮する.校正箇所を順番に検索して対応すればよいので,赤を入れられた箇所を「目を皿にして探す必要がない」.素晴らしい.

その他の利便性に関してはいろいろあるが,大量の紙を郵便でやりとりする必要がないとか,作業の履歴管理をしやすいとか,デジタルならではの利便性は多数あるだろう.同じような校正作業の指摘はコピペで省力化できるということに気付いたのも目からウロコであった.この点は,明らかにデジタル化による意義を感じるところである.

留意点

ただし,ペンタブ導入の効果を最大化するためには,いくつかの準備が必要だ.まず,モニタは大きく解像度の高いものを利用すべきだろう.私はMacBook Proの13''モニタだったので,若干,窮屈さを感じた.慣れというものは恐ろしいもので,これでもなんとかなっているのは我ながら凄いと思うが,やはり大きな画面のほうがミスは少なくなると思われる.

もうひとつ,板書代わりにはMS OneNoteを使ったほうがよいと述べたように,PDFへ校正記号を書き込む作業も,ソフトウェアによって使い勝手が大きく左右される.PDFへのちょっとした書き込みであればmacOS添付のプレビューでも問題ないが,手書きでコメントを書き込んだり,細やかな記号を書き込もうとすると,なかなかうまく書けずじれったい思いをする.一方,Adobe Acrobat Readerの添削機能は使い勝手がよい.ソフトウェアを選ぶことも大切である.

補足

※ WindowsでコンテキストメニューからPDFを作成するには,標準プリンタをPDFプリンタドライバに設定しておいて,コンテキストメニューの「プリント」を選べばよいとのこと.教えてくださった皆様,どうもありがとうございます.

補足2

iPad等のタブレット端末は,表面の保護フィルムで書き心地が全く異なるらしい.ツルツルのシートではなくザラザラの保護フィルムを使うと紙のようなタッチで書けるとのこと.ただし,摩擦によるペン先の消耗が激しいので注意だそうだ.

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