2020年11月29日日曜日

HCD-Netフォーラム2020に参加して

11月27, 28日に開催されたHCD-Netフォーラム2020に参加した.社会情勢に鑑み今年はオンライン開催ということになったため,自宅からオンラインで参加ということになった.なお,金曜日はいろいろと別件と重なり,夕方の表彰式にしか参加できなかったのはちょっと残念.

作年まで実行委員として参加していたが,今年はその役目を担っていなかったので,少し,気楽な立場での参加であった.ただし,28日の午前中はパラレルセッション「HCDと倫理」でWGメンバとして2時間登壇する立場だったし,午後は研究発表会で,口頭発表こそなかったが2セッションめの座長を担当,さらにHCD-Net研究事業部副部長としての立場から全体の進行を司るということで,気を抜くことができなかった.ずっと座っていただけだが,だいぶ疲れたなあ.

パラレルセッション「HCDと倫理」

午前中の倫理のセッションでは,30分弱の枠を頂いていたので,会員を対象として事前に実施したアンケートの結果を紹介した.登壇者のプレゼン資料はどこかで公開することを検討しているらしいので,その結果は別途,紹介することもできるだろう.いずれにしても,アンケートに回答してくださった方々の意識は高く,ニッポンのHCD専門家はおしなべて真面目である(それをどう評価するかは別として)ということが如実に明らかになったことは確実に示された.

そもそも倫理観に欠けている私が倫理を語るなんてのはおこがましいにも程があると自覚しているが,そういう立場になっちゃったんだから仕方がない.まあ,知命を過ぎて,社会的責任を担わねばならんのかと覚悟はしているので,どうか皆さん助けてください……と,これは心からのお願い.

HCD研究発表会

昼休みが30分だけあったが,いろいろ運営側との連絡やら調整やらで時間が過ぎ,昼食をとることができないまま午後のHCD研究発表会に突入した.なお,その後,失礼かとは思いつつ発表を聞きながら昼食を頂いた.これも,オンライン開催のメリットといえばメリットなのだが,はたしてこれをメリットとして認めてよいやら?という疑念は残る.これも「倫理」の問題か?

個々の研究発表については,ここでは論じない.それぞれ,議論が深められて発表者の方々は気付きを持ち帰ることができたのではないかと期待するに留める.全体を通してみれば,いつもの対面発表のときと比べてみると,参加人数の割には質疑応答が盛り上がらなかったかなあという気もする.いつもはだいたいフロアから質問やコメントが出るが,今回は,座長が捻り出す状況が多かったような印象である.先の昼食の件と同様,オンラインは参加意識が希薄になるのではという疑問を持っているが,こんなところにもそれは現れているのかなあ.

HCD研究発表会の反省点

今回のチャレンジは,オンライン研究会ではポスターセッションをどう実現するかという課題に対するひとつの解としての「ビデオセッション」を用意したことである.結果としてポスターセッションの代替にはなり得なかったのは反省すべき点ではあるが,口頭発表に登壇して発表するよりは気楽に参加できるという意味で,学生の発表者を増やすという意義はあった.

ビデオセッションの問題点は,すべてのビデオを視聴するには時間が足りない,というところである.これは予め分かっていた課題だったので,ビデオの提出を早めにお願いし,参加者には事前に視聴しておいてもらったうえで,ビデオセッションの30分で,ビデオのコメント欄を利用して質疑応答してもらおうという建て付けで考えていた.

なにぶん新しい試みであり,参加者にその概念が周知できていなかった点も反省点であろう.参加者から匿名で募った事後の参加者アンケートでは,「ビデオ観てから参加せよと事前にアナウンスすべき」とその点を指摘する声もあった.まあ,こちらとしては,ちゃんと「ビデオ観てから参加してね!」とメールで事前にアナウンスはしていたので,メールの文面をきちんと読んでから参加してほしかった…… と反論するしかないのだが.その点をもっと強調すべきだったとか,何回も念を押すべきだったかとか,そのあたりは,次回もし,またビデオセッションをやるとしたら,それに対する改善項目ではある.

次回開催に向けて

研究発表の質が落ちているのでは?という指摘も頂いた.これについては業界全体の問題とも考えられ,我々としては自ら奮するとともに業界の底上げを目指すべく,さらに鼓舞する施策を検討していくことしかできないが,まあ,エールとして受け止めておきたい.

そして今後の開催に向けてとても参考になった反応は,オンラインと対面のハイブリッド開催を望む声が多数派だったという点である.この点については,今後,真摯に検討していくべき課題であると考える.この反応を得られただけでも,参加者アンケートの意義があったといえる.世の中の多くのイベントでは,これまで,なんとなく「形式的に」参加者アンケートを取っているような印象を受けていたが,我々はちゃんと今後に向けて意見を汲み取って今後の運営に反映させることをお約束する.アンケートに回答してくださった方に御礼申し上げます.



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