TWtrendsというシステムを開発し,2018年の正月から運用を続けている.Twitterの「トレンド」を可視化してひと目で分かるようにしようというシステムである.SNSで話題になっていることは社会の鏡になっているのではないか?という仮説に基づき,毎日提供されているトレンドの傾向を可視化すればそれを確認できるのではないかと考えたものだ.
新聞代わりにはならない
結論からいうと,「予想したほどではない」というところ.たとえば次の図は2020年11月4日の東京のトレンド群から作成したトピックマップで,予想通り米大統領選挙が話題になっていたことがわかる(中心部にナナメに置かれている薄緑色のグループがそれに相当している)が,話題の大きさだけにもう少し大きなクラスタになると考えていた予想は外れた.
2年間と半年ほど運用を続けてきて,週末には必ず競馬の話題やニチアサ(仮面ライダーや戦隊シリーズ,プリキュアなどのTV番組)の話題で盛り上がるとか,芸能人のゴシップ,有名人の訃報は話題になりがちとか,元号が変わった瞬間は異常なほどその話題が集中したとか,いくつか興味深い性質を確認することができた.しかし,社会の鏡になっているか?と問われれば,かなりバイアスがかかっていると判断せざるを得ない.
より詳しくは,既報の「SNSは世論の代弁者たりえるか?」(飯尾2020)も参照していただきたいところだが,いま何が話題になってる?という参考にはできても,新聞代わりにすることは少し無理があるかな?という印象である.毎朝このトピックマップをFacebookに投稿していたら「毎日,楽しみにしています」と感想をいただいたこともある.話題のネタにはちょうどよい,かもしれない.
補足情報システムの構成や原理については論文(Iio 2019)やシェルスクリプトマガジンに連載中の「バーティカルバーの極意」で解説を加えているので,そこに興味がある人はその記事も参考にしてほしい.連載中の4回を使って解説している(現在校正中の次号の記事で完結予定).
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