2020年10月17日に行われた箱根駅伝予選会で,中央大学チームは2位となった.おめでとうございます.今年こそは,シード権を獲得して名門チームとして復活してほしいなというところ.応援したい.ところで,ときどき,白門会と呼ばれるOB組織に呼ばれて講演をすることがある(今年は中止)のだが,ある年にちょうどこの予選会当日がその講演会の日だったことがある.そのときは講演会後の懇親会でも箱根予選会の話題でもちきりであった.今年はそのような光景がみられないんだなあと思うと,せっかく2位になったのに素直に喜べないような気もする.
さて,のっけから日記のような話で恐縮ではあるが,この話は本稿で主張したいことと強い関係がある.すなわち,大学のオンライン化が進むと〇〇大生である誇りや帰属意識は失われるのではないかという危惧である.これは大学に限った話ではなく,企業でも,新人が入社してテレワークばかりでは,会社に対するロイヤルティは醸成されないだろう(その結果として社会の流動性が増すのであれば,悪い話ではないとも考えられるかな?).
帰属意識と人的ネットワークの醸成
また,私の個人的な話で恐縮ではあるが,最終学歴を問われたときに,東京大学と書くべきか大阪大学と書くべきか,悩むことがある.もちろん,形式的には大学院の社会人博士課程として在籍していた大阪大学が最終学歴になるはずではあるが,それこそ東京で生活しつつ,遠隔で参加していた大阪大学の想い出は少なく,心情としては東大の修士課程での学びが最終学歴なんじゃないかと悩んでしまう.
学生時代の出来事を想い出すのは学部・修士の頃がほとんどであって,阪大時代の想い出は,研究室内での出来事くらいしかない.研究室外での想い出といえば年に一度の講演発表会くらいしかない.今になって様々なシーンで役に立っている人間関係の多くは,学部・修士時代に築いたものだ.阪大で築いた人間関係は,残念ながら研究室関係のみに留まっている(もちろんそのネットワークも濃密かつ大切なものではあるが).
あらゆるものがオンライン化し組織がバーチャルになると,このような副次的な効果は確実に薄れていくだろう.それでよいのかダメなのか,そのような観点からの議論も必要になるのではなかろうか.
通信制大学の苦悩?
通信制の大学ではどうしているのか,2例と数少ないながら,関係者が情報を教えてくださった.まず,早稲田大学人間科学部eスクールをご卒業されたS先生によれば,年に二回,懇親会があるとのこと.そこでは毎回,応援団とチアガールが現れて,校歌や応援歌を指導しつつ,早稲田魂を注入されるのだとか.その結果,「ロイヤルティは通学生以上かもしれません。大隈重信公の墓参りにまで行く卒業生もいますし」とS先生は仰る.
BBT大学では,「コロナ以前だけれど……」との断り書き付きで,入学式の後に懇親会があり,新入生が,大前先生や先生方と直接お話できるようになっている,つまり,遠隔で講義を受ける前に会って話をする機会を設けている,と別のS先生が教えてくださった.
他の通信制大学ではどうなのか,気になるところだが,やはり,このように対面でのコミュニケーション機会を補うことが必要と感じているのであろう.BBT大学関係者のS先生によれば「以前,早稲田も合格したけど,早稲田をけって新卒現役でBBTにきたという学生がいましたが,懇親会では実務系の有名どころの先生方に,名刺を配って挨拶してまわっていました.最初から,卒業したら起業するつもりのようでした」ということがあったそうで,独立独歩・唯我独尊な人には向いているのではなかろうか.社会全体がそんな人ばかりになったらちょっとどうなのか?とは思うが.
0 件のコメント:
コメントを投稿