2020年8月8日土曜日

学生部がもっと主張すべきでは

COVID-19の影響による講義のオンライン化に関して,やれ学生はキャンパスライフを求めているだの,大学生の本文は講義の受講でありオンライン講義で十分だの,最近,議論が喧しい.前期は緊急対応ということもありなんとか世間にも受け入れられた感があるが,後期の対応はどうすべきか,大学は難問を突きつけられている(実はそのあとに入試対応というもっと難問が待っているが,本稿ではそこには踏み込まない).

具体的に確認しておくと,本稿で議論したいことは,学生にとっての「大学生活」をどう保証するかという問題の取扱いである.そもそもそんなものは大学の本質ではないと切り捨てるか,それも重要だと何らかの対策を提示するか.いずれにしても,どのような対応をとるにしても,その対応をとることの説明責任はある.

ここで私が主張したいのは,この話題は学生部マターと考えられるのに,学生部視点の意見を(いまのところ)ほとんど見ないなということだ.さらに,先生方のご意見,学生たち本人,あるいは,保護者の方,それぞれの主張はあるだろうし,それらが対立することもあろう.そのような対立する意見を調整する役目も学生部が担っているのではなかろうか,というものである.

学生部とは何か

大学関係者以外には「学生部」と言われてもピンとこないかもしれない.学生部とは,大学において学生の諸生活に関するアレコレを議論する組織である.たまたま日本医科大清水先生の「学生部長としての思い」という文章を見つけたので,そこから,学生部委員会の活動について説明している箇所を引用する(清水2010).

具体的には,学内はもちろん課外活動時の事故,疾病ならびに設備の改善に対する対応,予防接種,健康診断など健康面での対応,喫煙および飲酒の問題,学内での避難,防災訓練など安全対策,入学時のオリエンテーション,学生が中心となって毎年行われている海外との短期交換留学(IFMSA)のサポート,毎年行われる東日本医科学生総合体育大会(東医体)の支援,優秀な学業成績や課外活動を通して本学の発展に顕著に寄与した学生または団体に贈られる橘賞,桜賞の選定と授与などがある.

「学内はもちろん課外活動時の事故,疾病」「健康面での対応」などの記述がみられる.まさに,COVID-19対応に関係が深い組織であろうことを読み取ることができよう.

名称は「学生部」以外にもあるのかもしれないが(ちょっとググってみた限りでは,どの大学にも「学生部」という組織はあるようにみえた),類似の機能を持つ組織はどの大学にもあるだろう.そして,表に出てこないだけで,既にどの大学でも学生部主導でこの問題に取り組んでいるのかもしれない.しかし,残念ながらその結論はまだ見えてきていない.

どの大学でも,大学組織のなかで学生部長はそれなりの存在感を示しているはずである(本学の場合,現在の学生部長は副学長でもある).まさに今こそ声を挙げるべきタイミングではなかろうか.それとも,学生部は黒子に徹するというスタンスなのだろうか.

参考文献:
清水一雄,学生部長の思い,日本医科大学医学会雑誌 6(4): 162-163, 2010.

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