The Economistの「The pandemic is widening educational inequality(パンデミックは教育の不平等を拡大する)」という記事がたいへん興味深い.「貧困層に属する多くの生徒にとっては,オンライン授業は対面授業のチープな代替にしかならない」という記事である.
記事の要約
比較的やさしい英語で書かれているし,それほど長い記事でもないので,ぜひ,リンク先を原文で読んでみていただきたい.忙しい皆様のために三行でまとめると,
- COVID-19の影響で学校がのきなみオンライン化した
- 貧困家庭ではオンライン授業に満足に対応できていない
- そのため学力格差が拡大した
という感じ.まあ,そうだろうね,っていう記事ではある.しかし,よく読むといろいろと示唆的な指摘が書かれていることに気付く.
大学のオンライン化にも参考に?
記事は初等中等教育を対象としている記事のため,大学のオンライン講義には「直接には」関係ないかもしれないが,大学のオンライン講義化を議論するうえでも,本記事で指摘されている事項を考えることは無意味ではあるまい.なにしろ大学での学びは小中高での学びの延長線上にあるのだから.
なかでも,この記事で指摘されている教育格差を拡大する要因のひとつに,裕福な家庭では親御さんが「自学による勉強の仕方を知っているから」という点を挙げていることは見逃せない.
これはそのまま大学でのオンライン講義のあり方にも当てはまりそうだ.すなわち,レベルの高い大学の学生は教員が想定するオンライン講義に素直に対応できる可能性がおそらくは高い.その一方で,そうではない大学では,提供側の想定範囲を越えた様々な配慮が求められるだろうということが想像できる.いや,大学全入時代の昨今,大半の大学は何らかのケアを行うべきで,放っといてもなんとかなるのは一部のトップ校だけかも.
ところで,対面授業って英語で「in-person learning」っていうんだ.なるほどね.
0 件のコメント:
コメントを投稿