2022年8月7日日曜日

どうしてこうなった3件

日頃から、利用者に易しくないサービスだなあ、と心のなかで悪態を吐くことがしばしばある。皆様に愚痴をこぼすのも申し訳ない気がするが、たまにはこんな記事もよいのでは?と、事例を3件、紹介したい。いずれもHCDのプロセスを念入りに行えばもっと工夫ができたのでは、という事例である。

車内デジタルサイネージの難

一つめは、埼玉高速鉄道車両のデジタルサイネージである。通勤で南北線を利用している私は、ときどきこの大層なデジタルサイネージが設置された車両に乗り合わせることがある。このサイネージ、なにやら先進的な機能を付けたサイネージ設備らしいのだが、かなり気に食わないことがある。なにが問題かというと、ドアの上にこれでもか!という具合に設置されている点である。

多くのコミューター鉄道車両では、ドアの上には交通案内が設置されているはずである。これは世界各国の都市でほぼ共通であり、気の利いた車両であればLEDで次の駅は何か、どちら側のドアが開くかといった情報が提示される。「さて、そろそろ降りる駅だろうか?」とふと見上げる場所が、ドアの上なのである。

ところが、埼玉交通鉄道のデジタルサイネージが設置された車両では、ふと見上げると駅の情報ではなく広告が表示されているのだ。そこには必要な情報がない。反対側には駅の情報が出ているのだが、反対側を見よという指示もないのでなかなか気付きにくい。ただでさえ鬱陶しいと反感を覚えられがちな広告がこれでは、逆効果になるのではなかろうか。

検疫用アプリの難

二つめは、検疫用のアプリ、MySOSである。入国時にこのアプリの画面を見せよということで、日本入国者はこのアプリをスマートフォンにインストールしておかないといけないことになっている。

先日、久しぶりに海外出張する機会があった。日本に帰国、入国する際には、72時間以内にPCR検査を行い陰性を証明しなければならない、ワクチンもきちんと接種していることを示さないといけない、なかなかたいへんである。手続的には問題なく準備したので、帰国前に現地のホテルで、MySOSにポチポチと情報を入力していった。

MySOSはスマートフォンアプリなので、スマートフォンの小さな画面でちまちまと情報を入れていかねばならない。百歩譲ってそれはよしとしよう。いろいろと情報を入力していくと「証明書をアップロードしてください」という項目が現れた。

おいおい、私が持ってる証明書は『紙』だぞ?どうやってアップロードせよというんだ?

まさか電子証明書のみの対応ということはあるまいな。詰んだかな……と駄目元でファイルを選ぶためのボタンを押したところ「カメラで撮る」という選択肢があった。なるほど、写真に撮って送れということか(*)。それならそうと、きちんと書いておいてほしいものである。

このアプリ、ホテルの部屋ではWifiの電波が弱かったのかネットワークが脆弱で、そのせいか登録時に何度も何度も何度もエラーになって、それもイライラさせる原因となった。タイムアウトになる時間の設定が短いのだろうか。海外の通信環境は必ずしも良いとはいえない場合も多いので、そのような状況も考慮した設計にしていただきたいと願うばかりである。

貶してばかりでは申し訳ないので、よいところも少し紹介しておこう。検疫に関する準備の整い具合に応じて、画面が赤から黄、緑、青と変化する。大勢の入国者を円滑に捌くために、その色の画面をちらっと見せるだけでよいという発想は優れている。似たような画面を作ってチートできそうなもんだが、最後はQRコードでチェックするので突破はできない仕組みになっているし、そのためだけにインチキする輩もほぼ居ないだろう。

それだけに、初手のまずさが惜しいと感じるのだ。あとはMySOSというネーミングセンスもどうかなと思うけれど、それはまた別のお話。

異文化間交流支援アプリの難

三つめは、我々が実施しているプロジェクト用に、私が作成したアプリである。日本と海外の学校をオンライン会議システムで結び、異文化間交流教育を実施しようというプロジェクトである。今どきはどの学校もLMS(Lerning Management System; 学習支援システム)を使っているが、問題は相互乗り入れができない点である。それは海外の学校も然りで、異文化間交流を2校で行おうとすると、どうしてもその間に独自のシステムを用意しなければならないことになる。

そのような経緯もあり、専用のLMS的なシステムを私が作成した。その機能の一つに、オンライン会議の接続用URLを共有するための機能がある。システム内では交流授業一回を「ミーティング」と呼び、ミーティング情報の内部にオンライン会議情報(「コネクション」と呼んでいる)を複数、設定できるようになっている。

ミーティングも複数回用意することができるが、取り扱いを簡単にするために、皆の画面には直近のミーティングのみ表示されるようになっている。したがって、その日の交流授業が終わると、過去のデータは(先生がアクセスする)管理用ページ以外からは参照できなくなる。

今回、慌てたのは、3日間の連続交流授業を実施した状況である。1日目はつつがなく終了した。問題が発生したのは2日目である。「オンライン会議の接続情報は昨日設定したのを使ってください」と先生がアナウンス。しかし昨日のページはすでに消えている。1日目の情報をコピーすることで対応してもらったが、想定外の使い方であった。

考えてみればこのような使い方があってもおかしくはない状況である。事前に行ったユースケースの検討が甘かった点が反省点で、終了時間を設定できるようにする、あるいは、ミーティング情報をボタン一つでコピーする機能を用意するといった対応が必要になるだろう。

注:
* これも、おそらくQRコード部分だけを送ればいいはずで、その通りにしたらうまく行ったが、書類全体を写真に撮ってみたりと、皆さん難儀しているようである。きちんとしたインストラクションがほしいところ。

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