2022年6月1日水曜日

査読の実際

論文の査読というものは研究者のボランティアに支えられている.私も論文誌編集委員をいくつか兼務しているので,査読候補者に対して,投稿された論文の査読をお願いすることがある.こういうのは持ちつ持たれつなので,原則として依頼された査読依頼を断らないようにしている(ただし,最近,MDPIから頻繁に頼まれるものは断ることにした.それには理由があるが,本稿では省略する).

さて,今週,私が対応した査読依頼である.8本の英語論文を査読した.「査読報告書は何文字以上書け」と指示がある場合もあり,下記の例でいえばICEGOVは1,000文字以上という条件が付いている.それなりの英作文もしなければならないということだ.

当然ながら日常業務の時間を削っての対応ということになるので,査読に費やす時間は,本当は他にやりたいことがあるんだけど,という時間から捻出している.ここまで依頼が重なると,かなり削らないといけないので,そこそこ辛い.ICEGOVの運営はギリシャの人たちなので,まあ,いざとなれば断るかな,というところだが,NBiSの運営側はよく知っている人たちなので,無碍に断れない.早めに回答しとこってな具合にポンポン対応していたら,次から次へと依頼が降ってきて,こんな数になってしまった.もうこれ以上は対応しないからね!(←関係者の方々へのメッセージ)

ところでそもそも私なんでICEGOVのtechnical program committee (TPC)メンバになんてなってるんだっけ.発表したことすらないのに.ポルトガルの誰かに頼まれたようなうっすらとした記憶が……,まあこれも人的ネットワークとしては財産なのだと前向きに考えることにしよう.

ところでちゃんとした学会は査読体制もちゃんとしているんだなあと感心したことがあることを思い出した.ヒューマン・コンピュータ・インタラクション(human-computer interaction)分野のトップカンファレンスであるCHIという学会がある.CHIの査読は実にしっかりしていて,私もそれなりに頑張って査読コメントを書いたつもりだったが「もっとちゃんと書け」とお叱りを受けたことがあった.「ちゃんとした学会は査読体制もちゃんとしているんだなあ」と感じた次第である.

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