2022年4月18日月曜日

オンライン演習までの(厳しい)道のり

この4月から,プログラミング系の演習をオンラインで実施するという(なかなかにチャレンジングな?)試みに挑戦している.多摩,後楽園,市ヶ谷と分かれている本学において,全学からメンバーが参加する全学対象ゼミが始まったからである.さらに,来年度には法学部が茗荷谷に移転するので,多摩,後楽園,茗荷谷,市ヶ谷と4拠点を結んだオンラインゼミナールを実施することになる.

本学ではFLP(Fuculty Linkage Program)として既に全学ゼミの実績が十分にある.本プログラムは,AI・データサイエンスセンターが実施するiDS(intermediate program on the Data Science and AI)プログラムと呼ばれるもので,新たにAIやデータサイエンスを学ぶ演習プログラムとして用意されたものだ.2年生から卒業まで,3年間みっちりとゼミ形式でAIやデータサイエンスを学ぶプログラムである.理工学部,総合政策学部,文学部,国際情報学部(iTL.私)所属の教員4名がそれぞれ各ゼミを担当する.

いよいよ初回が始まったが,さすがに最初は,市ヶ谷キャンパスの教室に集まってもらって,自己紹介から始めた.いきなりオンラインかつ全てオンラインでは友情も育まれないであろうという配慮である.さらに,オンラインで円滑に学習を進めるための準備は,さすがにオフラインでやらねばならなかろうという意図もある.

オンライン演習実施の工夫

これまで「オンライン演習実施のためのヒント」「オンライン演習どうするどうやる?」「続・オンライン演習どうするどうやる?」で紹介してきたように,オンラインで演習を実施する工夫として,OBS(Open Broadcaster Software)を使って学生のデスクトップをシェアしたり,拙作のちょっとしたソフトウェアMultiViewを用いて学生のノートブックをシェアしたりという方法を考えた.OBSとMultiViewを用いたオンライン演習環境については,参考文献(Iio, J. 2022)も参照されたい.

せっかくソフトウェアを作り込んだ(というほどでもないが)ので,MultiViewの利用を優先的に考え,初回では学生にMultiViewの存在と,プログラミングの演習はGoogle Colaboratory(以下,Colab)を使うよと伝えた.まずはHello Worldからということで,ColabでHello Worldするところまでは,うまくいった.まあ,それほど難しい話でははない.

さて,ではそのノートを共有して,というところで問題が発覚した.それは,基本的に学生のドキュメントは,学内アカウントでログインしたアカウントでしか共有できない設定になっている,ということである.用意していたMultiView環境は学外のアカウントだったので「とりあえずテストだからリンクを知っていれば誰でも共有可能にして」と指示したところ,学生から「できませーん」と声が上がったという次第である.

試行錯誤で問題解決へ

しかたがないので,私の学内アカウントでMultiViewを使うべく,用意をしようとした.MultiViewをGoogle Chromeから使うには,「Ignore X-Frame headers」という拡張機能を入れなければならないのだが,今度は「Googleウェブストアにはアクセスできません」というエラー.学内アカウントではウェブストアにアクセスできない設定になっていたのである(図).

どうやって拡張機能をインストールすんのよ?といろいろ調べたら,拡張機能のソースコードを直接参照することで,導入できることがわかった.そして,幸にして,入れなければならない拡張機能はそのソースコードをGitHubで公開していたので,git cloneして必要なソースコードをダウンロードし,ブラウザの拡張機能として次の手順で導入できた.

その手順とは,拡張機能設定を開き,「デベロッパー・モード」をオン,「パッケージ化されていない拡張機能を読み込む」ボタンを押し,マニフェストファイルとソースコードが置かれているディレクトリ(manifest.jsonが置かれている場所)を指定する,という方法である(図).

正直,いろいろと障害があるなあという感じで,苦労は絶えない.これでMultiViewが利用可能になったので,次は,実際に使ってみてその使い勝手を自ら,そして学生からも,評価していこうというところである.

参考文献

Iio, J. (2022) OBS Share and MultiView: Two Methods for Sharing Student Work in Distant Teaching, The 20th International Conference on e-Society (ES2022), pp. 253-257, Online.

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