2026年3月27日金曜日

水にまつわるお話・再び(お気楽クルンテープ通信 No. 52)

以前,水に関係する話を紹介した.今回もまた,水の話をしたい.

途上国の水道水は飲用に適していないという事実は広く知られているが,東南アジアも都市部では,飲める程度の水準まで,水道の浄水施設は進化している.ただし,水道管の整備に課題があるため,シンガポールなどごく一部を除けば,水道水をそのまま飲むのは避けたほうがよいとされている.ここバンコクも然り.

したがって,毎日,飲んだり煮炊きしたりするための水は,ミネラルウォーターのボトルをスーパーでまとめ買いして使っている.もっとも,料理はしないので,せいぜいコーヒーを沸かしたり,カップラーメンを食べたりというときに使うくらいだが.

湯沸かし器は,毎日,大活躍している.そのまま飲む水は炭酸水を買っているので,スティルウォーターは,ほぼ,沸かして使っている.

あるとき,湯を沸かしてカップに注ぎ終わった後の電気ポットを見て,底に残った湯のなかに,砂粒のような欠片が混じっているのに気付いた.皆さんはミネラルウォーターを沸かして飲んだことがおありだろうか?タイのミネラルウォーターに限らず,一般的に,ミネラルウォーターを沸かすと,結晶が析出するものらしい.

最初は何か汚れかと思い,気持ち悪かったが,もう,慣れた.

硬度にもより,ミネラル分の多い硬水を沸かすとそうなるのだそうだ.日本人が好む軟水では発生しないので,経験がない方も多いかもしれない.バンコクの水道水は硬度が高く,ローカルブランドのミネラルウォーターもまた,硬水ということらしい.

ところで,この砂粒のようなものの正体は何だろうか?乾かしてみると薄ベージュ色で,チャオプラヤ川の色にも似ている.浄化しきれなかった土壌が溶けてるんじゃないの?なんて意見もあり,それだとすると,あまり気持ちのよいものではない.

話は少し脱線するが,タイ人は衛生に関する意識は日本ほど高くないので,生活排水が流れ込んでいるチャオプラヤ川はあまり綺麗な河川とは言い難い.有り体にいえば汚い.そんな川にも関わらず,魚たちはたくましく生きている.

チャオプラヤ川河畔には,川床のように,水上に迫り出したテラスを持つレストランが存在する.そのようなレストランで食事をしていたときに,従業員が残飯をそのまま川に投げ捨てていた.日本の感覚だと,それはそれでいろいろ問題があろうかというところだが,こちらの流儀では,気にしない.マイペンライ.

するとどうだろう.水面が盛り上がったかと思うと,下から,大きな口を開けた,体長も50センチはあろうかという大きな魚たちがバシャバシャと集まってきたのだ.さながら池の鯉に餌をあげたときのような感じを想像してもらえれば,当たらずといえども遠からじといったところである.

もう一つ,川にまつわるちょっとした話を続けよう.もっと小さな市内のドブ川である.列車に乗って郊外に遠足に出たときのこと,車窓から市街の様子を眺めていたら,線路と並行して流れていたドブ川に,ワニがいたのだ.そう,バンコクのドブ川には,ワニがいる.

体の大きさは1メートルそこそこといった小型のワニだが,野生のワニである.アッと気付いたときにはもうその場所を通り過ぎてしまい,写真に収めることはできなかった.しかし,驚いた.

あとで調べてみたら,バンコク市内の川には小さな川でもワニがいて危険なので水遊びはしないようにとのこと.もっとも,そもそも水が汚いので水遊びをしたくはならない.

さて,話をミネラルウォーターから析出した「何か」に戻そう.この結晶,酢やレモン汁をかけて泡が出て溶けるなら炭酸カルシウム(CaCO3),変化が無ければケイ酸塩か砂の微小粒子の可能性があるとの情報を知人から教えてもらった.実験だ.

たまたま,マナオを一つ,手に入れた.マナオとはライムの一種で,タイで流通している果物である.タイ料理には欠かせないが,これもまた日本に輸出されていない果物の一種だ.見た目はスダチやユズといった感じの柑橘系である.

タイの焼酎であるラオカオを炭酸で割って絞ったマナオを入れて飲むと,これがたいへん美味しいのだが.それはまた別の話.

集めた欠片に絞ったマナオ果汁を垂らしてみた.するとどうだろう.確かに泡が出て少しずつ溶けていくじゃないか(写真).ということで,正体は炭酸カルシウムと判明した.科学の実験は楽しいね.

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