2026年1月1日木曜日

続・バンコクの年越しは楽しい(お気楽クルンテープ通信 No. 28)

サイアムのCentralWorldに入るのに難儀した話の続きである.

無事にCentralWorldで用を足したはいいが,とにかく人混みにあたってしまった.帰れなくなっても困るし,とりあえずプロンポンまで戻ろう.そう決意した私はサイアム駅を目指して歩き始めた.

チットロムとサイアムの間には,ワット・パトゥム・ワナーラームというお寺がある.そういえばタイに詳しい某先生が「お寺にも行ってみるといいよ,面白いから」と言っていた.

境内をのぞいてみると,夜店が出ている.それだけでワクワクする.日本では神社の境内に夜店が出るが,こちらではお寺に夜店が出るらしい.買い食いすればよかったかな.腹は減っていなかったので,自制する.

よくみると,巨大な藁苞のような場所に,お札を挟んだ箸のようなものがたくさん刺さっている.多くは20バーツ(100円相当)札だが,たまに50バーツ札や100バーツ札が混じっている.これは初めて見た.年末年始だけのお賽銭みたいなものだろうか.

いろいろ珍しいものを見た.サイアム駅は混雑していたが,どうにもならないというほどではなかった.そのようにして,プロンポンまで戻ってきた時点で23時である.

プロンポン駅の周辺では,周辺のビルの屋上あたりからのサーチライトが,これでもか!という具合で夜空を照らしていた.もはや何でもアリのご様子.シリキットさんの喪に服すという話はどこへいっちゃった?という具合である.

ところで,サイアムほどではないものの,プロンポン駅前でもイベントをやっており,かなりの人出があった.タイのアーティストがステージで楽曲を演奏している周囲は相当な人混みになっている.反対側は,まだ余裕がある感じだった.反対側には大型ビジョンでの中継に皆が見入っている.

ところが,皆が大型ビジョンの中継を見ているかというとそうでもなかった.なかには反対側を向いて座り込んでいる人たちもいる.私はそれを見てピンときたね.ひょっとしてここは花火の特等席なのではなかろうかと.

その直感は大当たり.24時の10分ほど前になり,気がつくと私の後ろにも人混みが迫っており,まさに黒山の人だかりという状況になっていた.プロンポンでこれだから,サイアムにいたらどんなことになっていたことか.

そうこうしているうちに,遠く,サイアムの方向から花火が上がっているのが小さく見えた.ああ,サイアムにいたらカウントダウン前から花火を楽しめたのね.まあ,ええですよ.

などと考えていたら,目の前にあるベンチャシリ公園からたくさんのドローンが飛び出してきた.おー.

ドローン部隊が飛び出してきたのをぼーっと見ていたら,そいつらが大きな数字を作って,10, 9, 8, …… とカウントダウンを始めた.向こうではビルに照らしだされたプロジェクションが,同じくカウントダウンを始めている.数字がずれているのは,マイペンライ.

いずれにしても,カウントダウンが終わったら,こちらでもババババッと花火が上がりはじめた.ビルの屋上から打ち上げているらしい.綺麗なのはいいが,かなり喧しい.まあ,喧しいのもニューイヤーイベントらしくていいか.それはそれとして,真上でぼんぼん花火を打ち上げるものだから,灰が降ってくるのはいかがなものか.

いずれにしても,バンコクの年越しは,噂に違わず派手でエキサイティングなイベントだった.いい経験ができた.皆さんも来年の年越しはよかったらどうぞバンコクにお越しください.鬼が笑うか.

バンコクの年越しは楽しい(お気楽クルンテープ通信 No. 27)

12月なかばに金沢で学会があったので一時帰国したのだが,クリスマス前にバンコクに戻ってきた.というわけで,単身,バンコクで年越しをすることになった.かねてより「バンコクの年越しは楽しいよ」と聞いており,年内の仕事は昨日までになんとかやっつけられたので,大晦日くらいは羽根を伸ばさせてもらおうと,夜になってから街に出た.

まず,腹が減っては戦ができないと,食事をしてスタートである.私が住んでいるプロンポンは日本人が多く居住するエリアであるせいか,私の家の裏に蕎麦屋がある.かねてより気になってはいたので,年越し蕎麦を食べるべく,訪れてみた.

「1人だけどいい?」と,初っ端から日本語でOKだったのはなんというか拍子抜けだったものの,店内はそこそこ混んでおり,なんとかカウンターの端に潜り込めたという感じだった.ほとんどの客が日本人のようで,日本語がたくさん聞こえてくる.TVはテレ東の番組を流していた.どういう仕組みなんだろう.

天ぷら蕎麦とハイボールを注文,蕎麦はまあそこそこ,海老天が3本入っていたので満足だ.サービス料込みで433バーツ.まあ,そんなもんかな.

腹ごしらえができたので,バンコクの中心部,サイアムのエリアに行ってみた.BTSに乗り,サイアムの一つ手前,チットロムで降りて下を歩いてみる.中心の目抜通りは車の通行が制限されて,歩行者天国になっていた.歩行者天国なのにバイタクが走り回っていたのは,さすが微笑みの国タイランド.マイペンライでいいなあ.

人混みのなかをそぞろ歩いていたら,蕎麦屋で飲んだハイボールが効いてきてかトイレに行きたくなったので,CentralWorldというショッピングモールに入ろうとした.ところが,そこでちょっとしたピンチが訪れた.

CentralWorldの広場ではカウントダウンイベントが開催されているので,多くの人が集まる.そのため,入り口に厳重なセキュリティが設けられていて,長蛇の列ができていたのである.

列に並んでいてトイレが我慢できず,人間の尊厳を損ねるインシデントが発生してしまった,というトラブルではない.まだ,多少の余裕は残っていた.そうではなくて,セキュリティの前にIDチェックがあり,IDカードかパスポートをカメラにかざせとの掲示が出ていたのだ.

けっこうな人混みなので掏摸が暗躍してるのではと警戒し,できるだけ身軽な格好で来ようと考えたのが裏目に出た.パスポートは家に置いてきた.さあ,どうしよう.

パスポートの写真を撮ったことがあったはず……とスマホのカメラロールを遡っていったら,パスポートの写真は見つけられなかったのだが,代わりに,日本の運転免許証の写真が出てきた.咎められたらそのときに言い訳しようとばかり,カメラにえいやと日本の運転免許証の写真をかざして通過.イケるのか?と,ドキドキしながら通過した.

何も言われなかった.よかった.マイペンライ.

さて,長くなったので後半に続く.写真は年越し蕎麦のつもりで食べた天ぷら蕎麦.自然にレンゲで汁を啜っていて,ん?なんか変だぞ?蕎麦ってレンゲ使ったっけ?と不審に思ったのも良い思い出,なのかもしれない.