2023年3月23日木曜日

定型文書の形骸化

本文書の結論を最初に示す.「〇〇文は全て,結論だけ一言で書けばよろしい」……以上である.その理由を今から述べるので,お時間のある方はお付き合いください.

仕事柄,いろいろな文書を頼まれることがある.ひとつひとつの文書を作るのはさほど手間ではないが,何度も何度も頼まれると,塵も積もればなんとかというやつで,それなりの負担感がある.

しかし今や俺たちにはAIがある!そういう面倒な仕事はChatGPTにやらせてしまえばよいのだ.

推薦文の場合

以下の例は,田中啓一郎(仮名)くんに関する推薦状をChatGPTに書いてもらったものである.

それにしてもよく出来ている.埋め草にはちょうどよい感じの文章だ.

推薦文には,こんな事情もある.昨年,3通の推薦状を3名の学生に書いてあげたが,3名ともその企業の内定を断った.ひどい話である.それゆえ「こんどから推薦した企業に入社しなかったら推薦状一通5万円だ」などと冗談を吐いていた.しかし,いっそのことぜんぶChatGPTに書かせてしまえば私の腹も立つまいし学生だって気軽に反故にできるだろう,などと考えて試してみたものである.

挨拶文の場合

次は,挨拶文である.これは,私が,某協会の理事にお誘いいただいたので,挨拶文を用意することになり,切羽詰まって用意したものである.

来月のオンライン理事会で私がひとこと挨拶をすることになったのだが,スケジュールの関係で移動中に接続しなければならないという状況に陥り,万が一,うまく接続できなかったときに代読する挨拶文を用意せよとリクエストされた.

もちろん,真面目に考えるつもりではあるが,プランBとしてChatGPTにも考えてもらったものだ.〇〇の部分には具体的な名詞が入るが,ここではとりあえず伏せておく.

尊敬する皆様、

この度、〇〇協会の理事に就任することを、心より光栄に思っております。〇〇の普及と発展に貢献する機会をいただき、感謝申し上げます。

私は、〇〇の価値に深く共感し、そのコミュニティーの一員として多くの時間を費やしてきました。〇〇は、共同作業や知識共有によって、高品質な〇〇を開発することができるという素晴らしい特徴を持っています。今後も、私たちはこの精神を守り、〇〇の価値を広めるために取り組んでいく必要があると考えています。

理事として、私は協会の発展に向けて、自身の経験や専門知識を活かし、全力を尽くしてまいります。そして、〇〇の発展に貢献するために、協会との協力関係を強化し、協会の目標達成に向けて積極的に取り組んでまいります。

最後に、〇〇協会のメンバーの皆様、関係者の皆様に心よりお礼を申し上げます。私自身も学びの場として、そして〇〇を支援する立場として、貢献できるよう尽力してまいります。今後とも、よろしくお願い申し上げます。

なかなかよく出来ている.このまま使っちゃおうか? 

文書の意義はどこに

さてこうなると,そもそも「推薦状」や「挨拶文」の意味は?これって必要なのか?という疑問にぶち当たる.そもそも,受け取ったほうも,真面目に中身まできちんと読んでいるのか,という話もある.

田中啓一郎(仮名)の推薦状を私(飯尾)が発行するということは,「飯尾が田中を推薦した」というその事実のみが重要なのであって,文面なんて,何でもよいのではなかろうか.

令和の推薦文は「AがBを推薦します.以上」でよいのではなかろうか.挨拶文も「精一杯がんばりまっす.以上」でよかろう.〇〇文は全て,結論だけ書けばよろしい.ずいぶんと乱暴な結論になってしまった.

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