わりと手当たり次第にいろいろなテーマに手を出して,なんとなくとっちらかっている感がある私のCVではあるが,そのなかで「これは面白い成果を出せたな」と自負している研究成果はTWtrendsである.そして,その成果は[1]にまとめられている.その後に出した「にこP」関連の論文[2, 3]も,まあ,そこそこ面白い成果ではないかと自分では思っている.
しかし,いささか残念なことに,これらの論文は人気がない.あまり読まれている形跡がない.自分で面白いと考える成果と,他人が注目する研究には大きな乖離があるらしい.
ただし,飯尾の手がける研究はおしなべて的外れなのか?というと,そんなわけでもない.
たとえば,ResearchGateという研究リポジトリのサイトで,毎週,コンスタントに数十回アクセスされ,総数では既に1万3千件以上(2023年2月10日現在)読まれている論文[4]がある.引用数もそれなりにある,私の研究成果のなかでは一番人気の論文となっている.
しかし,この論文,少し工夫した出席管理システムを作ってみたというもので,私の主たる専門領域ではない.[4]は国際会議で発表したもので,その後,論文誌にも掲載[5]してもらえたので,内容は,まあ,しっかりしたものといってもよいかもしれないが,これが一番人気というのには,なんとなく違和感を覚える.
まあ,とある企業との共同研究の成果なので,それは誇ってよいのかもしれない.共同研究といえば八王子市と共同で進めている図書館関係の研究成果[6]も,そこそこ注目を集めているようで,エゴサーチしてみると,ときおり,ツイートされている.大学の研究成果リポジトリのアクセス数をみても,他よりは多めのアクセスが記録されている.ただし,これも私が文学部時代に図書館情報学のコースを担当していたという理由で共同研究メンバーになっていたもので,私の研究領域におけるメインストリームというわけではない.
そんなわけで,自分が面白いと思っている研究成果と,社会が求める研究成果は,なかなか一致しないものなんだなあと苦悩する日々なのであった.
参考文献
- Iio, J. (2019) TWtrends ― A Visualization System on Topic Maps Extracted from Twitter Trends, IADIS International Journal on WWW/Internet, Vol. 17, No. 2, pp. 104-118.
- Iio, J. and Wakabayashi, S. (2020) Dialogbook: A Proposal for Simple e-Portfolio System for International Communication Learning, International Journal of Web Information Systems, Vol. 16, Issue. 5, pp. 611-622.
- 飯尾淳, 若林茂則, 櫻井淳二, 石川茂, 木嶋勇一 (2021) 異文化交流教育に向けたプラットフォームの提供と実践事例, 情報処理学会論文誌トランザクション デジタルプラクティス, Vol. 2, No. 3, pp. 58-67.
- Iio, J. (2016) Attendance Management System using a Mobile Device and a Web Application, The 5th Workshop on Web Services and Social Media (WSSM2016) in conjunction with the 19th International Conference on Network-Based Information Systems (NBiS2016), pp. 510-515, Ostrava, Czech Republic.
- Iio, J. (2018) Attendance Management System using Selfies and Signatures, International Journal of Grid and Utility Computing, Vol. 9, No. 2, pp. 206-210.
- 飯尾淳 (2019) 上手な読書感想文の特徴とはなにか ― 八王子市読書感想文コンクール応募作品の分析から ―, 中央大学文学部 紀要 社会学・社会情報学, No. 29, pp. 1-9.
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