数学の授業で「オイラーの公式」の美しさについて滔々と語ったところ,学生から「その美しさがわからない」という感想が出た.オイラーの公式とは,次の式で指数関数と三角関数が結ばれるというものである.
指数関数と三角関数が,こんな簡単な式で結ばれるというだけでもう十分に美しいと思うのだが,オイラーの公式を使うといろいろな証明が簡単にできるという事例を紹介しよう.少しは美しさについて気づいてもらえるだろうか.
三角関数の加法定理の導出
三角関数の加法定理を導出する手順も,オイラーの公式を用いると実に簡単になる.三角関数を高校生に教えることが必要か不要かという議論が先般,話題になったが,高校数学で三角関数の加法定理を暗記せよという苦痛を味わった皆さんも多いことだろう.咲いた咲いたコスモス云々というなんだかよくわからない呪文を私も唱えたことがある.
しかし,本来,数学は暗記科目ではない.加法定理など,憶える必要はないのだ.そしてそれに続く倍角の公式やら半角の公式やらも,加法定理からいちいち導けばよろしい.公式を憶えることが重要なのではなく,さっと導くことができることが大切だ(受験数学に限っていえば,限られた時間のなかでスッと引き出すために,憶えておくことは無駄ではないかもしれないが).
そしてオイラーの公式を使えば次のようにとても簡単に導出できる.美しい.
三角関数の微分の導出
三角関数を微分したらどうなるんだっけ……,これも,オイラーの公式から簡単に導出できる.次のようにすればよい.オイラーの公式自体は指数関数と三角関数のマクローリン展開から導くことができる.数学はいろいろと密接に関連している体系的な学問なのだ.あー,美しい.
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