例年,11月頃に行っている東京農工大学での集中講義,今年は今後どうなるかわからないが夏期集中講義であれば対面でできるから,という連絡を頂いた.夏休み中の講義で学生には申し訳ないなと思いつつも,夏期集中講義として実施することになった.まあ,大学院の講義なので例年10人前後くらいの講義で密にはならないし,かつ,PC教室でパソコンを使用しての演習含みのため,対面でできるならばと夏期集中講義を選択した.
対面のよさを噛みしめる
実は,10年ちかくやってきたこの講義もカリキュラム改変の都合で今年度が最後なのだが,諸処の事情があり,新たなコンテンツを取り入れて実施することになった.オンライン講義として講義内容を収録すれば,別の講義で使い回すこともできそうだなあと少し助平心も出て迷ったが,結論からいうと,対面で実施してよかった.対面講義の良さを再確認したところである.
朝から夕方までずっと喋り続けるのはなかなかにしんどい話ではあるが,学生の様子を見ながら話を進めているので,やはり,きめ細かい話の調整ができる.昼休み後の,午後イチの時間帯では,腹がくちくなっているせいか(まあ,私の喋りが眠気を誘うのかもしれない)うつらうつらし始める学生が若干出てくる,そんなときは,少し休憩しようか,なんていうこともできる.オンラインだとなかなかこういった調整は難しい.
マンツーマンの細かな指導も
わりと小難しいプログラミング手法を指導するので,作業の指示も一筋縄ではいかないという面がある(ちょっとしたスペースの有無でエラーが発生してしまい,どこがマズいんだろう?としばらく悩んでしまうなんてこともある.こういうデバッグはなかなか気を遣う).したがって,ちょっと難しい箇所は,机の間を巡回して確認しながらではないと,置いてきぼりになってしまう学生が出てくる.これも,オンラインで,ひとりひとりの画面を共有してやればできないことはないだろうが,10人いると,いちいち切り替える手間も鬱陶しいだろう.
躓いているところがなかなかわからないケースも出てくる.それでも,顔を突き合わせて(マスクはしている)ああでもない,こうでもないとやれることの幸せ.あるいは学生から,ここはこうしたらどうですか?というアイデアが出ることも.それこそインタラクティブな対面講義の醍醐味といえるかもしれない.
いずれにしても,どうしてもオンラインだと,リアルタイムオンライン双方向授業であっても一方向の知識伝達で終わってしまいかねない(いわんやオンデマンド方式をや!)が,インタラクティブ性に関していえば,やはり対面講義,対面の演習にはかなわないなということを再確認した.
オンラインでの経験をどうやって活かすか
オンラインの苦労を経験したがゆえに,対面の講義をより良いものにできそうだという感触を得た.オンラインで学生からも評価が高かったポイントのひとつに,個別に丁寧な指導を受けられたという点がある.これは,教員の負荷もかなり高かった.その問題は何らかの方法で解決せねばならないが,オンラインの経験を対面にもフィードバックすることで,より質の高い教育を提供できるのではないかということを考えさせられる集中講義であった.
0 件のコメント:
コメントを投稿