自民党の議員を含む38名がぞろぞろと海外研修という名の遠足に出かけ,エッフェル塔の前で撮影した浮かれた写真をSNSに投稿したことが炎上した.まあ,海外に積極的に出かけていって視野を拡げることは悪いことではないし,業務の合間にちょっとした観光を楽しむことを批判するつもりはない(国際会議(学会)だってexcursionというイベントがある.そのようなイベントに参加して交流を深めるのは重要だ).
しかし,38名も連れ立って行く必要あるんか?とか,そんな団体旅行だと,国際交流は二の次になってしまわないか?とか,そもそも党費20万円+自費30万円だとか言い訳しているけれど,党費だって政党交付金という税金が使われてるぞ?とか,そもそも往復ビジネスクラス利用での渡欧だと50万円なんていう金額では行けないはずで,嘘ついてないか?とか,いろいろと指摘したいことはあるが,それらはとりあえず置いておこう.
国際情報学部とは
ところで,中央大学では,2019年に国際情報学部と国際経営学部という二つの新学部が設立された.国際経営学部は英語で行われる授業が7割,中国語のそれが2割,日本語では1割の科目しか行われないということで,日本語がわからなくても卒業できるとの立て付けである.それに対して我が国際情報学部では第二外国語の授業もなく,どこが国際なんだ?という批判を受けることがある.
しかし,インターネットはボーダレスの情報流通基盤である.国際社会を支えるITと,それを利用する際に制約を受ける社会規範である法(Law)の学習は,もはや国内に留まったものではあり得ない.その意味での「国際」であり,言語としてはLingua Francaとしての英語を操ればよい,といった姿勢に基づく「国際」情報学部である.
というわけで,国際情報学部(iTL)の私の研究室では,所属学生に対して,国際会議,国際的イベントへの積極的な参加を支援している.私も学生に背中を見せるべく,海外に積極的に出かけるように努力している.一口に海外出張といっても,国際会議に採択されるような予稿を書き,予稿を書くための研究を進め,そしてそれらを遂行するための予算を確保するなど,弛まない努力が必要なのである.
先月,2023年7月には,ポルトガルのポルト,米国サンフランシスコ,台北で開催された国際会議に続けて参加した.ポルトでの会議には,学生(学部4年生)の投稿も採択されたので,二人で参加した.学生を連れていくと,当該学生の指導,学生分の参加費の捻出など,さらなる努力が求められる(ただし,やり甲斐はある).
国際交流の意義
次の写真を見ていただきたい.
これはポルトでの会議でのsocial event,いわゆるカンファレンスディナーでのひとコマである.偉かったのはその学生で,彼女は,コーヒーブレイクやランチタイム,そしてこのディナーのときなど,積極的にいろいろな人に話しかけて愛想を振り撒いていた.
愛想を振り撒いた成果あってか,最終日に行われた彼女の発表には大勢の聴衆が集まってくれた.「Proposal for a Serious Game on the Theme of Personal Information」と題された彼女の発表は,個人情報保護をテーマにした対戦型オンラインゲームの提案である.質疑応答にもきちんと受け答えでき,学部4年生とは思えない立派な対応であった.
さらに,オランダから参加されていた先生から「英語版ができたら評価に協力したい」との申し出もあった.素晴らしい成果である.早速,英語版の作成に取り組むべく,研究グループの一員,帰国子女で英語が堪能なメンバーを,英語版作成担当にアサインしていたようである.その後の展開を見守りたい.
交流しよう
さて,本稿で言いたいことは,せっかく高いカネ払って海外に行くのだから,国際交流しないともったいない,ということである.遠足で終わらせてはならない.
台湾で行われたCOSCUPでも,夜のBoFでは,香港から来たAlex,台湾ローカルのEddieなどと,熱い議論で盛り上がった.台湾は行きやすいので,来年は学生にも発表させようか.
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