2023年6月15日木曜日

図書館の利用状況を可視化する

長いこと八王子市図書館との共同研究を進めている.以前,図書館の利用状況を地図上にマップするというテーマで作業を行い,それで卒論を書いて卒業していった学生もいた(Hくん,元気でやってますか?)

ところで,当時から5年ちかく経ち,いろいろと状況が変化した.八王子図書館側の変化も大きい.そもそも当時は6箇所しかなかった図書館も,規模の大小はあれども現在は9箇所に増えている.

こちらの作業環境も大きく変化した.当時はGoogle fusion tablesという便利なツールがあった.ところがこれ,最後まで(Experimental)という但し書きが取れずにサービスは終了した.一時期,Tableauに作業環境を変更してみたこともあった.こちらも便利ではあったが,いかんせんライセンス料が高すぎる.

一方で,Google Colaboratoryの利用が日常化した.こちらのプラットフォームでfoliumというライブラリを入れれば地図上の可視化が(比較的)簡単にできる.講義や演習でも取り入れて,便利に使うようになった.

そんなわけで,Colab + folium の環境を使用し,最新のデータで再度やってみよう!ということになった.ちょっと試してみて,わりといい感じにできたので,サワリの部分を紹介しよう.

ここで紹介するのは図書館の登録状況である.色は,登録者数の多寡を表しており,赤いほど多いという一種のヒートマップである.なお,地図上の丸は図書館を示し,赤丸はデータ集計の対象とした図書館を表している.

まずは生涯学習センター図書館のそれ.ここはHくんがその卒論のなかで「広域型」と定義したように,八王子市全域に利用登録者が広がる大型の図書館である.生涯学習センターは八王子駅近く,駅前の商業地区ど真ん中にあり,市民は通勤,通学の途中で立ち寄ることも多いのだろう.八王子市の多くの地区にお住まいの皆さんがこの図書館で利用者登録をした状況が現れている.

続いて南大沢図書館.これも規模は比較的大きい図書館だが,八王子市の経済圏に関する特徴がよく現れている.すなわち,八王子市の東南部分,南大沢エリアを中心とする,いわゆる多摩ニュータウン隣接の地域は,八王子駅周辺とのつながりが薄い.それらを直接結ぶ鉄道路線がないことの影響が如実に現れているといえよう.

次の2つは,みなみ野および石川図書館である.これらは地域密着型,小規模図書館の代表例であり,図書館周辺に登録者が集中している様子がわかる.

いかがだろうか.なお最後に示した石川図書館は,かつて我々が示した利用状況地図の空白地帯に設置されたものだ.研究結果が地方行政に活かされ,市民のQoL向上に多少なりとも貢献できたとすれば,それなりに誇らしく感じてやりがいもあろうというものである.

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