HCD-Netが主催するHCD研究発表会は春と秋……というか,夏と冬?に年2回開催されている.なぜか6月頭に実施する研究発表会が春季HCD研究発表会,11月末に実施する研究発表会が冬季HCD研究発表会と題されているので,そのまま言えば春と冬である.まあ,そんなことはどうでもよくて,2023年6月10日の今日は,2023年度春季HCD研究発表会が,東京は市ヶ谷,武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパスで実施された.
COVID-19パンデミックに伴い,しばらくの間はオンラインで開催されていたこの研究会ではあったが,昨年からは対面での実施が復活し,今年は例年にない盛況である.やはり,2類から5類への変更が,人間の行動変化に大きな影響を与えたといえそうだ.いやはや,ウイルス自体が消えたわけでもないのに,社会とはいかにもテキトーだということがよくわかる事例である.
3年前,パンデミックが始まったころ,この騒ぎはどうなったら終わるんだろう?と,100年前のスペイン風邪に思いを馳せつつ,頭を悩ましていたものだが「なかったことにする」という形で終息するとは予想だにしなかった.スペイン風邪のときも似たようなものだったのだろうか?
まあ,そんな話もどうでもよくて,今日紹介したいのはHCD研究発表会名物「ポスターセッション中継隊」である.
ポスターセッション中継隊
昨年度の研究会から対面が復活した,とはいえ,オンラインの実施により「わざわざ東京まで出張することなくオンラインで参加できてすばらしい」との声が,主に地方在住の会員から聞こえてきたことを無視できないと議論されていた.このあたりの経緯は(飯尾・辛島, 2022)で論じているので参考にされたい.
したがって,HCD研究発表会は2022年より対面・オンラインのハイブリッド形式で実行されている.そのための数多な工夫は本稿でもいろいろとレポートしてきた.
そのようななかで,問題になったのは「ポスターセッションをいかにしてハイブリッド化するか」である.(飯尾・辛島, 2022)でも指摘されている.
そこで導入されたのが「ポスターセッション中継隊」である!
ZoomやWebexなどのオンラインツールを動かしているスマホを片手に,ポスターセッション会場を中継しまくるリポーターを導入したのだ.
中継隊の効果
正直,なんかガヤガヤしていてポスター発表の正確な内容が伝わっているかどうかは,若干,微妙ではある.しかし,雰囲気が伝わるのは大正解.次の写真を見ていただきたい.なんか楽しそうな雰囲気は伝わってるでしょ?
この写真は,ポスターセッション会場の隣,口頭発表会場に設置されていたモニターに,ネット配信状況が中継されていたところを撮影したものである.画面の反射で撮影者が映り込んでしまうので,斜めからの撮影になっている点はご容赦を.
もちろん,ポスターセッションは,気になった発表を対話的にじっくり聞いて,議論できるという利点がある.しかし,中継隊をぼーっと眺めているだけでは,その利点は享受されない.発表を選んでじっくり議論したいのであれば,会場に来てくださいということだろう.あるいは,オンラインでも,図々しく「この発表を中継してください」とリクエストすればよい.
いずれにしても,ポスターセッション中継隊は前回,2022年冬季HCD研究発表会で導入されて,オンライン聴講者からはそれなりに好評だった.ポスターセッションのハイブリッド化にお悩みの方は,参考にしてみてはいかがだろうか.
参考文献
飯尾, 辛島 (2022) 研究会のオンライン化とその対策, 人間中心設計, Vol. 18, No. 1, pp. 5-13.
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