2023年1月22日日曜日

行間がビヨーンと延びる問題

MS Wordのスタイル機能を駆使して新たに作成した卒論テンプレートを公開したところ,「Windows版のWordだと行間が間延びする」との報告をいただいた.私はMac版のWordでテンプレートを作っており,Windows版の挙動はよくわからない.しかし「あれえ?今年まで使っていたテンプレートはそんな問題は報告されてなかったゾ」ということで,原因究明に乗り出した.

いろいろ調べた結果,フォントの取り扱いと,行数を指定したときに行グリッドに合わせるという設定がいろいろと悪さをしているようで,Windows版では,どうもその計算に問題があるらしいということが分かった.以下,その状況と解決策を報告する.

問題の再現

以下は,まっさらの文書を「新規作成」で用意して作業を進めたものである.

まず,新規作成で白紙の文書を用意する.「=rand()」と入力し,エンターキー(リターンキー)を押すと,ダラダラっと例文が現れる(次図).なお,この機能は,オートコンプリートをオフにしていると無効なので注意.普段は,余計なお世話で邪魔でしかないオートコンプリート機能を叩っ切っておくことをオススメする.

次に,Ctrl+a(コントロールキーを押しながら,aキーを押す)で全文を選択する.このとき,デフォルトではフォントが「游明朝」でフォントサイズが10.5ポイントになっている点に注目していただきたい(図中の丸).


ここで,丸の左下あたりにある「フォントの拡大」ボタンを押す.これを押すと,選択した部分のフォントサイズが10.5ポイントから11ポイントになる.すると,あら不思議!行間のビヨーン,いとも簡単に再現できた.

これ,Mac版だと同じことをやってもビヨーンとならない.結果として非互換の問題が発生する.やれやれ,いったいどうしたものだろうか.

問題への対処方法

いろいろと対策方法は考えられる.まず,フォントを変えるという対応が手っ取り早い.旧来のMS明朝(MSゴシック)だとこの問題が起こらないようである.別のフォント,たとえばメイリオ等でも同様の問題が発生するとも聞いている.

しかし,最近のMSは,游明朝(游ゴシック)の利用を推奨しているようだし,せっかく新しく用意してくれているものを使わないのももったいない.

行数指定を外す,という対応もある.現在のMS Wordは,デフォルトで「行数だけを指定する」という設定になっている.これを「標準の文字数」に変更すれば(図),フォントサイズを大きくしても行間がビヨーンと延びることはなくなる.

だが,これもMac版だと行間が詰まりすぎてしまい,いささか問題がある.このあたりの計算がWindows版とMac版で差があるのも困ったものである.

蛇足ながら,昔からWindowsのMS Officeはフォントメトリクスの計算が怪しく,その結果生じていると思しき困った問題が放置されている.代表的なものとしてExcelのセルに文字いっぱいいっぱい入れると印刷時にはみ出る問題とか,PowerPointに貼り付けたテキストボックスの最後の文字が表示されない問題とか.いい加減ちゃんとしろよ!と指摘したいところだが,まあ,致し方ない(OSの問題なのではないかと推測している).

卒論テンプレートにおける解決策

結局のところ,卒論テンプレートにおいては「本文10.5ポイントでそれより大きくしてはならない」と指示し,運用でカバーするしかないか.見出し等はどうしても10.5ポイント以上になっているため,そこで,若干,よけいな行間が空いているようにみえる.ここでちょっとした非互換が残ってしまうが,気にならない範囲ではある.

見出しの問題は,そのような役物のスタイルにおいて「1ページの行数を指定時に文字をグリッド線に合わせる」というチェックを外しておけばよさそうだが,それも面倒だなあ.

「見出し等」というスタイルを新しく作り,そこで上記のチェックを外した指定にする.そのうえで,基準とするスタイルをそれにすればよいだろうか.親クラスを作っておけばよいということだな.まあ,ぼちぼち考えていくことにしよう.

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