先週の木曜日から週末にかけて,タイ最北部に位置するチェンライに出張してきた.Thai Association for Applied Linguistics (TAAL)という学会に参加し,我々がやっているプロジェクトを報告するためである.
しかし,そもそも私のバックグラウンドとは全く異なる学会で,完全なる他流試合である.さらに,この学会は今回が2回目というまだ始まったばかりの学会,タイ人ばかりなのかなと思いきや,中国やフィリピンなど,けっこう近隣諸国からの参加者がいたのには驚いた.欧米人もちらほら.日本から参加した日本人は私以外にいたのかな.日本からの参加者といえば,たまたま,東京大学で英語を教えているS先生と昼食をともにした.ただし,彼はイギリス人.
さて,学会の会場はチェンライもさらに北の外れにあるメーファールアン大学だった.チェンライ市内から続く国道を30分ほど北上する.国道に面した入口の信号を右折,森の中に延々と続く緩やかなカーブをしばらく進むと,立派な広場と建物がどーんと現れる.1998年に設立された大学だそうで,比較的,新しく美しいキャンパスだ.現代的な建物が並んでいる.
郊外型の大学で開催される学会で困るのは,そこに行くまでの足をどうやって確保するか.レンタカーを借りるというのは一つのよい解ではあるが,今回,出国前が慌ただしかったせいで国際免許を取ってこられなかった.最近はGrabなる便利な配車サービスもあるが,タクシーみたいなものだから,毎度毎度Grabというのも気が引ける.
たまたま,今回は,同じプロジェクトに参加している,ナコンパトム在住のT先生もその学会で発表した.彼は自宅からチェンライまで車で来ていたので,毎朝,チェンライ市内のホテルに宿泊している私をピックアップしてくださった.ありがたい限りである.
実はこれまでにも何度か彼の車に乗せてもらったことがあり,いぶし銀……といえば聞こえはよいが,かなりの年季が入った骨董品,つまり相当に古い,まあ,よく動いているなというシロモノであった.ところが今回,さっそうと現れたのは新車のピックアップトラック.実にかっこいい車で,助手席に乗ったら新車の匂いがした.
そんなおニューの車で聞いた,タイの交通事情をいくつか紹介しよう.
チェンライに着いたその日の夜は,彼に誘われて近郊のレストランで夕食を共にした.そのレストランまで車に乗っていき,駐車場がいっぱいだったので路上駐車することになった.路肩をみると,赤と白の縞模様になっているところと,黒と白の縞模様になっているところがある.
黒と白の縞模様になっているところに車を停めた彼は,ここは駐車してよいゾーンなのだと説明した.赤と白は駐車禁止のエリアで,黒と白は駐車可,なんだそうだ.なお,ホテルの玄関あたりは黄色と白の縞模様だった.その意味を聞きそびれたのであとで調べてみたところによれば,黄色と白は,荷物の積み下ろしのための停車は可,というものらしい.
タイは日本と同じ右側通行なので,レンタカーを借りてドライブするのも楽そうに思える.ただし,バンコク市内は渋滞がひどいので,難易度は少し高そうだ.東京で外国人が運転するのは難しい,とくに首都高は難しいだろうな,というのと同じかも.
赤信号でも右から車が来ていなければ左折してよいというのも教えてもらった.これは米国と同じルールである.米国は逆方向だけれども.日本では「左折可」の標識があるところのみ,左折できる.どこでも左折可にしておいて,危なそうなところだけ左折禁止にしたほうが合理的だと私は考えるが,日本は安全側に倒しすぎるきらいがある.
タイでもグローバル化が進んでいるので,メルセデスやらBMWやら,外国からの輸入車はけっこう走っている.バンコク市内ではときおりポルシェも見かける.こないだはフェラーリだかなんだか,めちゃくちゃ高価そうな車を見かけた.T先生いわく,これらの外車は関税が300パーセント掛けられているそうだ.もともと高価なのに.タイも格差社会なのだろうか.お金持ちはどこにもいるなあ.
一方,街には日本車,とくにトヨタが溢れている.トヨタだってタイからみれば外車じゃないのか?そう,外車である.しかし,これらの車には300パーセントという法外な関税は掛けられていないので,安く購入できる.なぜか.それは,こちらに大きな工場があって,タイ国内で生産されているからである.
また,ベトナムの街ほどではないが,バイク,スクーターもぶんぶん走っている.しかも,かなりの確率でノーヘルライダーを見かける.ベトナムでは2007年にヘルメットが義務化されたが,タイはまだよいようだ.マイペンライ.写真はチェンライ郊外で見かけたノーヘルライダーズの二人乗り.KMITLの学内でも,学生たちが似たような様子で走り回っている.

































