2025年10月24日金曜日

タイ語でタイポグリセミアは成立するのか?

今週からバンコクでの生活が始まった.バンコクでいったい何をするのさ?という質問をされると,実は具体的に,何月何日にこれをやる,という詳細なスケジュールががっつり決まっているというわけでもないのでなかなか回答に困ってしまうのだが,いちおうは在外研究費としてそれなりの研究費をいただいているのでちゃんとした計画はあり,SMILEプロジェクトのタイ側のサポートというか現地を訪問してフィールドワークをすることになっている.

ただし,それ以外にもKMITLの先生方と共同研究をすることは決まっていて,問題は何をするかなのだが,まあ,その相談も込みでこれから考えていこうという,いかにもマイペンライな状態ではある.

タイポグリセミア各国語版

ということで,いま,一つ気になっているのが,タイ語でタイポグリセミアが成立するのか?ということである.とりあえずは英語とその他の欧米諸国のいくつかの言語,マレー語,日本語(ひらがな分かち書き版)で成立することは,関連研究の調査と我々の経験で分かっている.また,先日のCOSCUPで講演したときに「中国語でも成立しますよ」という情報をいただいた.中国語で成立するということは分かち書きなしでも成り立つということで,現在,日本語でも分かち書きなしの通常版タイポグリセミアを実験すべく,学生とあーだこーだとやっている.

で,せっかくタイの先生方と共同研究する機会を得たので,タイ語ではどうだろうかということを試してみたいのだ.

しかし,タイ語はそんなに甘くないのであった.かねてより,タイ語の自然言語処理は難しいとタイ人の自然言語処理研究者から聞いていたが,外国人の私から見ると,より難しそうに感じる.

タイ語の難しさ

まずはこれを見てほしい.いま宿泊しているホテルの最寄駅,パヤータイ駅で撮った写真である.

「ทางออก」と書いてある.私のタイ語レベルはまだ初級も初級だが,タンゴーク(ターン・オォーク)と発音するということは知っている(カタカナ読みだけど……).一つ一つ,文字をざっくり解説すると,ทがt,าがa,งがng,อがoで,กがkに相当する.

ここで,「ทはt」ということ覚えておいてほしい.

では,次の写真を見ていただきたい.駅名の表示である.「พญาไท」である.

個々の文字についての解説は控えるが,最後の文字,皆さんは読めますね?先ほど「覚えておけ」と強調しておいたtに相当する文字である.しかし,これはパヤータイ.パヤーアイトではない.はて?

じつは,「ไท」でthaiになる.ไがaiなのだが,子音が右に付くのである.通常,子音+母音で音を表すところ,このパターンでは母音+子音で音を表すという組み合わせになっている.さらに細かいことをいうと,ญの下にはみ出ている部分はaに相当するので,母音が下にはみ出ていることになる.

このように,タイ語では,左から右に素直に読んでいくのではなく,上に行ったり下に行ったり,ときには飛ばして読んでから左に一度戻ったり,という読み方をする.

はてさて,こんな言語で,タイポグリセミアって,成り立つんだろうか?

0 件のコメント:

コメントを投稿