2020年の6月,Chuo Opinionに「SNSは世論の代弁者たりえるか?」と題する記事を寄稿した.TWtrendsのシステムを稼働させて1年半の時点で,いろいろと考えたことを記したものである.その後,諸般の事情により空白期間があったものの,2021年9月に新システムを稼働させ,今に至っている.
世論の代弁者にはならない
当該記事でも「社会の関心事とTwitterのトレンドは100%重なっているわけではない」と結んでいるが,先日,それを象徴する典型的な状況を確認できたので紹介したい.
次の図は,2022年9月9日に作成された,その日のトピックマップである.この日は世界的に大きな衝撃が走った出来事があった.エリザベス女王の逝去である(お亡くなりになったのは8日).この日のトピックマップをみても,中央にあるグレーの話題クラスタが,その関係のトピックを示していることがわかる.グレーのクラスタには,ずばり「エリザベス女王」とのトレンドがあり,さらに,「チャーミング」「一つの時代」「英国王室」「哀悼の意」など,関連するトピックが並んでいる.
しかし,それだけに留まらないのがTwitterの面白いところといえる.エリザベス女王関連のトピックと同程度の大きさを持つ話題クラスタが,他に二つできている点が注目に値する点である.
Twitterならではのトピック
右上にある黄色のクラスタと,中央右の水色のクラスタがそれらである.
分かりやすいほうから説明しよう.右上の黄色いクラスタには,「スプラトゥーン3」「スプラ3」「スプラ休暇」「イカちゃん」などのキーワードが並んでいる.9月9日はスプラトゥーン3というゲームの発売日であった.Twitterでは既に事前にスプラトゥーン3の話題で盛り上がっていたこともあり,いざ発売されたということで大盛り上がりになったという次第である.
これまでのTWtrendsの運用経験から,Twitterユーザはゲームと親和性が高いことが分かっている.ゲームの話題で大きなクラスタができることはしばしば起こる.話題クラスタの大きさが関心の大きさをそのまま表すというものでもないが,エリザベス女王逝去とゲームの話題が同程度の話題クラスタを作ったという事実は興味深い.
もう一つ,中央右にある水色の話題クラスタには,「アクスタ」というキーワードが並んでいる.これ,なんのことかお分かりだろうか?
アクスタ,識者によると,これは「アクリルスタンド」の略らしい.アクリルでキャラクターを立たせるアクセサリーのようなものである.アクスタfestというキーワードがクラスタにならなでいる.詳細はよく分からないのだが,どうもジャニーズ関連の話題らしい.
ジャニーズもTwitterでしばしば話題になる分野である.いわゆるジャニオタと呼ばれる層と,Twitterユーザはある程度重なっていることが窺える.ジャニーズ話題とエリザベス女王逝去という世界的トピックが並ぶのも,Twitterならではというところか.
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