2025年9月7日日曜日

このIT化,要?不要?

台湾は台中で市バスに乗った.日本と同様,台湾でも交通系のカードが進化していて,悠々カードという東京でいえばSuicaのようなカードがとても便利に使える.電車だけでなく,バスでも利用できるので,Google Mapsなどの位置情報サービスと連動させれば,たいがいどこへでも公共交通機関で手軽に行ける.便利な時代になったものだ.

台湾のバスは,乗ったときにカードを車内の端末にかざし,降りるときに再びカードをかざすという手順で運賃精算が行われる.台北,台中,高雄のそれぞれの都市で同様だった.いずれの都市でも共通の仕組みが整備されているのは,旅行者にとって本当にありがたい.

ところで,次の写真は台中市内のあるバス停で見つけたボタンである.このボタン,意味はお分かりだろうか.


このバス停には,5番,11番,30番,そして56番のバスが停車する.ところが,台湾のバスは面白いことに,乗降客がいなければそのバスは止まらずに素通りしてしまう.したがって,バスを待つ客は,乗りたいバスの番号が付いたボタンをあらかじめ押しておき,乗車の意思を運転手に知らせる必要があるのである.

ボタンが押されると,バス停の,到着するバスから見やすいところに配置されているLEDにその番号が表示されるので,当該のバスが停車するという仕組みになっている(上の写真,LEDの点滅感覚とシャッタースピードの関係で,うまく撮影できていない点はご容赦いただきたい)

「へー,なかなか,考えられた仕組みだなあ」と,皆さんは感心するだろうか.

しかし,ちょっと考えれてみると,これはあまり意味のある投資とは思えない.なぜならば,こんな大袈裟な装置は必要ないと考えられるからだ.

このような仕組みのないバス停で,台中市民は,乗りたいバスが近づいたら手を振ってバスを止めていた.それで十分ではないだろうか?

(追記)

これについて皆様の意見を問うたところ,「ボタン押して待っていればよいから楽」という意見をいただいた.たしかにそうかも.私はイラチなんで「まだかなまだかな」とずっとバスが来るのを探してしまうので,その発想はなかった.また,「夜は人が手を振っても気付きにくいかも,LEDであれば確実」という意見も頂戴した.それもそうだ.道路に出て手を振るより安全だろう,ということは私も少し考えた.

システム構築には想像力が欠かせないという原則をあらためて考えさせられることになった.HCDの根本的な原理でもある.まだまだ,私も修行が足りないな.