2024年12月10日火曜日

例外は必ずある

以前,visit japan webの意義について論じたことがあった.最近はようやく電子化ゲートの運用が軌道にのったのか,紙での申請には行列ができている一方で,電子申請のゲートはスムースに通れるという,あるべき姿になってきているような印象がある.

まあ,場合によってはキオスクに行列ができていて紙のほうが早いという状況も稀にあるようだが.イラチな人は,紙申請と電子申請の両方を用意しておき,早そうだ!と思うほうを利用すればよい.選択肢があることは良いことだ.

ところで,DX時代の現代では,電子化,システム化は必須の流れでありそれに意を唱えるものではない.しかし,システム化には必ず穴があることも,忘れてはならない.穴,すなわち要件定義の漏れである.人間の想像力には限界がある.ゆめゆめ奢ることなかれ.えー?そんなことが?という状況は意外と発生するのである.

こんな例があった

ここで,私が体験した税関申請の電子化に関する仕様のバグを紹介したい.

たしかカタール航空だったと記憶している.23時30分に羽田到着というえらく遅い時間に到着する便で帰国した.ずいぶんと端のほうに停められた飛行機から延々と歩かされ,入国審査こそ自動化されているゲートで速やかに進められたものの,バゲージクレームで預けた荷物が出てくるのを待っているうちに,日付は変わってしまっていた.

さて,到着して荷物が出てくる間にvisit japan webの帰国登録をすればいいやとタカを括っていた私,ポチポチと入力を進めていたが,なんと,入力すべき情報にある「到着日」は過去の日付を選べない仕様になっていたのである.なんてこった.すでに前日になっていた到着日を選べない!

帰国便に乗る前にやっておくべきだった?以前,海外で手続きしようとして電波状況が悪く,どうせならちゃんとネットに繋がる日本でやって問題ないよね,荷物出てくる間の待ち時間にやればいいよね……と気軽に考えていた私を誰が責められようか?

このときは,致し方なく紙の申請書に記載して税関を通った.紙がなかったらどうしたか.日付を1日偽って,虚偽申請でもしただろうか(まあ,それはそれで,たいした問題でもないような気もするが……).

どうすべきか

アナログのシステムを全廃して全て電子化しようなどと,簡単に決めて強引に進めるべきではない.人間の想像力には限界があり,先に示したように例外は必ず生じるのである.そのようなときのために補助的手段は残しておくべきである.ユーザとのインタラクションが介在する現場を上意下達的に改革できると思ったら,それは大間違いである.

デジタル化というとTV放送の地デジ化が思い起こされるが,地上波をデジタル放送にしたケースとは違う(あれはある種のユーザ切り捨てでありそれはそれで問題ではあったが,そこまでユーザ保護を論じると何もできなくなる).いま日本で起こっている事例では,これからいろいろな例外が多数発生して混乱が生じるはずだが,おら知らんもんねー.

下記はいらすとやの「入国審査で言葉が通じない人のイラスト」.いらすとやには何でもある.



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