2024年5月29日水曜日

富裕層という幻想

野村総研が提示した「富裕層ピラミッド」なるものを日経が紹介していた.それによれば,日本にはそれなりの数の富裕層がいるんだそうだ.物価高にあえぐ庶民のひとりとしては,ホンマかいな?と滲み出る眉唾感を隠せないところだが,とりあえずその「富裕層ピラミッド」なる図式がこちらである(出典:「日経トレンディ」 Pick Up!野村総研「富裕層ピラミッド」、庶民割合 言ってはいけない真実も).

もう,マス層だのアッパーマス層だの,その定義からしてインチキくさいというか品がないというか,ゲスい匂いがぷんぷんしている.しかし,純金融資産を5億円以上も持つ超富裕層って9万世帯もいるんかよ!と驚きである.

そして中間のアッパーマスから富裕層までも,ピラミッドを見る限り,あれあれ?こんなにいるのか,日本もまだ捨てたもんじゃないな?と思わせる図式でもある.

いやしかし!これ,本当に正しいの?百歩譲って,というか,数値がそもそも信頼できなかったらどうしようもないので,ここに書いてある数字は信頼することにしよう.なお,保有額の比率は,富の偏在状況を明示するという点では意味があるが,お金持ちってナンボくらいおるん?という我々の肌感覚に近い「世帯数の比較」には意味がないので,ここでは純粋にそれぞれの層に属する世帯数のみに注目することとする.

さて,横軸の単位を「万世帯」として作成したグラフがこちらである.うーん,かなり下が厚いピラミッドじゃないか.先の図で示されているピラミッドには程遠い.

思い切って横軸を対数軸にしてみた.

いかがだろうか?こちらであれば,先のピラミッドと整合しそうだ.まさかの対数目盛りだったのか?

あまり意義は感じないながら,総保有額でも比較してみた(横軸の単位は「兆円」).

若干いびつではあるが,この比率であれば,先のピラミッドと乖離しているとも言い難い.うーん,そういうこと?しかし,なんだろう,もやもやする.ミスリーディングであることには間違いないよなあ.

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