2023年末,暮れも押しせまっていた時期に「岐阜のポーズ」が流行っていたのを皆さんご存知だろうか?
岐阜のポーズって何だ?
そもそも岐阜のポーズとは何か.漫画「クレヨンしんちゃん」のひとコマで,しんちゃんが「ぎふのポーズ」としてとっていたポーズが元ネタらしい.後ろを向き,両手を真横に拡げ,四股を踏むような感じで大股を広げたうえで膝を直角まで曲げて踏ん張るというポーズである.
国道417号藤橋根尾交差点岐阜方面ライブカメラの前でこのポーズをとってライブカメラ画像におさまるという悪戯が2023年末にちょっとしたブームになり,また,アクセスが集中してなのか事故を回避するためなのか,当該ライブカメラ映像が見られなくなってしまうなどの影響も出た.
「岐阜のポーズ」というキーワードでネットを漁ると,このような画像がたくさん出てくる.昼夜問わず出てくるので,こんな山奥までまあご苦労さんとしか言いようがないが,なぜかブームになっていたことがわかる.
なぜこんな山奥で岐阜のポーズをとることが流行ったのか,ライブカメラの定点観測が10分おきと比較的更新頻度が高く,自分の画像をライブカメラ画像としてネットに載せるのが容易だったからだとか,そもそも後ろ向きで顔を特定されないので匿名性が高かったからだとか,いろいろ考察されているので,詳しく知りたいむきはそちらを参照していただくとして……
iPAQによるモバイル監視カメラ
私が気になったのは,このようなライブカメラ映像がスマートフォンの小さいデバイスで誰もがいつでもどこでも確認できるようになったんだなあとしみじみ思うと同時に,感慨深く思い出したことがあったからである.
次の画像は,Linux Conference 2002 (LC2002)で発表した予稿から切り出してきた図である.写っているのは,iPAQで観測しているウェブカメラの画像である.リモートに設置されたウェブカメラが,窓の外,首都高の交通状況を動画で撮影し続けている状況を,Wifiで接続されたiPAQで確認している.
皆さんはiPAQなんてご存知ないかもしれない.iPadのパチモンではありませんぞ?
iPAQとは,今はなきCompaqが2000年から発売していた「ハンドヘルドコンピュータ」,今でいうモバイルデバイスで,デジタルアシスタントやポケットPCなどと呼ばれていた,スマートフォンの前身として位置付けられるデバイスである.
このiPAQ,Windows CEという組み込みデバイス向けWindowsがインストールされていたはずだが,Familiar LinuxというWindows CEをまるっと入れ替えて使うためのLinuxが利用でき,さらにXも動いていたので普通のLinuxアプリケーションを開発するように利用できたのである.もっとも,本体で開発はできないので,親機でクロスコンパイルしたソフトウェアをダウンロードして云々と,ちょっとした手間が必要だったのはなんとなく覚えている.
というわけで,今から20年以上前.初代iPhoneが出たのが2007年だから,その5年も前に,こんなことをして遊んでいた.歴史のたらればは語ってもせんないが,2002年のこれといい,その後のストリートビューもどきといい(この件についてはまた機会があれば紹介したい),資金さえあれば億万長者になれそうなアイデアは自分でも若い頃にいろいろと出していたのである.
それを考えると,技術馬鹿ではダメで,口八丁手八丁で資本家を騙くらかす,いや,投資させる能力が,いかに大切かと思わないでもない(まあ,技術馬鹿で育ってきた今の立場も,それなりに悪くはないけれど……)
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