RubyとRuby on Railsの基礎に関するオンライン授業を担当し3年目になる.全学部の希望者を対象としたビデオ授業,いわゆる,オンデマンド型オンライン授業という形式で実施している.この分野は進化が激しく,また,学生のレベルに合わせて内容を調整しながら進めているため,今年は3年目にして動画解説を撮影しなおしている.いちど動画を撮影してしまえばあとはラク……というわけにはいかないので,なかなか大変である.
ビデオ授業のため,教室での教員と学生のインタラクションが実現できない.そのため,LMSの掲示板を利用して質問を受け付けるようにしている.なにしろ100人を超える受講者がいるため,質問も頻繁に投稿される.そのため,質問対応にTAの手を借りているが,私もちょいちょい掲示板を覗いて回答するように心がけている.
上に挙げた例のように,ビデオ講義の動画でしっかり説明しているにも関わらず,それらの内容について質問してくる学生は多い.これはいったいどうしたものか.
ある学生との対話による気付き
あるとき,「どうしてもうまくできないんです」と研究室を訪ねてきた学生がいた.その意気やよし,というところだが,「エラーの状況を再現してみ?」というと,動画を小刻みにスキップして参照しながら,作業を進めようとする.
それじゃダメだよ……
物事には順序があり,とくにプログラミングにおいては順序どおりやらないと,うまくいかない.動画をスキップしたところでも,重要なポイントが説明されているはずだ.そのとおり進めないからエラーになるのである.
教室での講義であればしっかり聞いているかと問えば,そうでもないだろう.しかし,教室で演習をしていれば,つまづいたところでは周囲と助け合ったり,その時点で誤りを指摘できたりと,確認しながら進められる.しかし,オンデマンド講義で,しかも2倍速で視聴していたり,必要そうなところだけ摘み食い的に視聴していたりしているのでは,漏れがあるのもさもありなん,というところだろう.
いかに漏れなく伝えるか
とくにプログラミングに関する授業では,「必要なことをいかに確実に伝えるか」という配慮が教員側にも必要になる.A→B→C→D→……という作業手順があるとして,なぜこの順番でやるのか,あるいは,A,B,という手順がなぜそれでよいのか,という個別のポイントを,丁寧に伝えられるかという技量が求められる.
作業に慣れている,原理を理解している教員側は,さも当たり前のこととして「A→B→C→D→……」という作業手順を説明する.しかし,初見の学生は,なぜそれでよいのかとか,それを行うための前提知識などがわからない.そのため,「前提知識がないこと」を前提として,必要以上に丁寧に説明するように心がけがほうがよい.
それだけ配慮していても,説明が漏れることがある.そのうえで,ビデオ授業だと,先に述べたような視聴態度をとる学生は,A→C→D(Bをすっ飛ばす)というような理解をする.それではうまくいくわけがない.
このような,情報の欠如をいかに防ぐか,これは学生だけの問題ではなく,教員側の配慮も必要になろう.
なお,補足する手段として掲示板での質問を推奨している.掲示板での質問が活性化することは,基本的にはウェルカムである.しかし,無駄な質疑はできるだけ避けたいところ.そのために,全受講者に対してオープンな掲示板で質問しなさいと指導している.Q&Aが溜まればそれはひとつの財産になるし,重複した質問を避けられる利点があるからである.
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