2023年9月20日水曜日

草たっぷりのフォーを求めて

東南アジアの仕事に携わるようになって初めて訪問した場所はハノイ,2003年のことである.それ以来,ベトナムには何度,訪問したことだろうか.気付けば最初の訪問から20年が過ぎた.今年も夏に学生を連れてホーチミン市を訪れ,1週間ほど滞在した.

ベトナムといって,皆さん何を思い浮かべるだろうか.親日国であること?民族衣装のアオザイ?あるいは,美味しいベトナム料理とか?そう,ベトナム料理は美味しい.

なかでもとくべつ美味しいベトナム料理といえば,なんだろう.ゴイ・クォン(Gỏi cuốn, 生春巻き)やバイン・ミー(bánh mì, ベトナム版サンドウィッチ)かな …… バインセオ(Bánh xèo, ベトナム風お好み焼き)を挙げた人はかなりのホーチミン市通なのではなかろうか,これは美味しい.ホーチミン市の名物である.333(ベトナムのビール)を飲みながらのバインセオはもう至福のひとときである.

日本人にもよく知られている料理といえば,やっぱり,フォー,だろうな.米粉で作られた平打ち麺で,やさしい味のスープヌードルである.鶏のフォー(フォー・ガー,phở gà)や,牛肉のフォー(フォー・ボー,phở bò)が一般的で,だいたいどこでも食べられる.

ところが日本にある多くのベトナム料理店では,やはり日本人の口に合わせた味付けのベトナム料理を提供する.市場原理に基づくものなので,これは致し方ない.しかし,現地の味を日本で食べたいという願望も(自分のなかでは)無視できない.

で,現地のフォーといえば,なんだか得体のしれない草をたっぷり入れて食べるスタイルが一般的.しかし,これが,どうして,なかなか出会えないのである.一つには,日本人の口に合わせているからという理由があろう.加えて,食材が手に入りにくいから,という理由もあるかもしれない.そのため,パクチーで代用という手段が取られていることが,ままある.

さて,ごたくはこのくらいにして,最近,東京で立て続けに訪問して「わりと現地の味に近いかな」と感じたフォーを,いくつか紹介しよう.

まずは「フォーティントーキョー」.池袋,新宿,吉祥寺に1軒ずつあるらしい.メニューは潔く「牛肉のフォー(フォー・ボー)」だけ.写真は,プラスアルファのトッピングでパクチーを増量したものである.

続いて,池袋の「フォー・チュン」という店.これもフォー・ボー.ランチセットで900円.この店はすごい.雑居ビルの地下1階で,知らないとなかなか入りにくい佇まいのなか,ドアを開けるとそこはもうベトナム!店の匂いは完全に異国のそれであって,日本とはかけ離れた雰囲気.しかも店員,客ともにほぼベトナム人なので,話されている言葉はほぼベトナム語(……日本語で注文はできるよ),先日訪れたときは,隣のテーブルのお姉さんたちが延々と「Một Hai Ba Vô!」ってやってた.3, 2, 1, ヨー!という掛け声で,乾杯の合図である.

最後は,フォー・チュンの近くにある「フォー・ベト」.写真は,鶏とコリアンダーのフォー(フォー・ガーにパクチー多めに入れたもの).実は草の具合はこの店が一番,現地のテイストに近かった.怪しい草も乗っているし,もやしが乗っているのも現地風.レモンの代わりにライムであってほしかったとか,青唐辛子のスライスがほしかったとか,欲をいえばキリがないけれど.この店も,パクチーと香草は330円で増量できる.最適解はこれかな?

そして,実は,本当に美味しいフォーの食べ方は,途中でクァイ(Quẩy,油条という中華揚げパン)を千切って入れ千切って入れして食べるやり方なのだ.ずっとそう信じている.しかし,残念ながら,まだ東京のどの店でもそのスタイルには出会えていない.

東京のフォーは麺の量が多過ぎて,それだけでお腹いっぱいになっちゃうってのもある.現地のフォーっていかにも軽食で,クァイ入れてちょうどいい感じなのよね.

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