2025年11月29日土曜日

バンコク日本食(ただしB級グルメ)事情(お気楽クルンテープ通信 No. 17)

私は基本的に,郷に入っては郷に従う派なので,海外に出ても日本食が恋しくなるということはあまりない.しいていえば,ときおりラーメンを食べたくなるくらいだろうか.もういい歳なのだから,健康に配慮して,塩分脂分過多のラーメンは控えなさいと,医者には叱られてしまいそうだが.

現地の食文化にすぐ馴染める性格は,若い時分,サンタフェに短期留学したときから今に至るまで変わらない.サンタフェ滞在は1ヶ月にも満たないごく短い期間ではあったが「ぜったい醤油味が恋しくなるからスーツケースのなかに醤油を忍ばせておけよ」と先輩からアドバイスされた.それを真に受けた私は,小さな醤油のペットボトルを鞄のなかに入れて旅立った.

しかし,サンタフェという土地柄か,米国にしては食事が美味しく,日本食が恋しくなることは,ついぞ,なかった.滞在していた大学にあったカフェテリアの食事はそこそこ美味しく,街に出ればテックスメックス,メキシカンの店も多い.カリフォルニアからはジューシーな果物がたくさん入ってくる,そんな場所だったので,東海岸のような,もう,途方にくれてしまうような食事事情ではなかったのが幸いした.

その結果,持ち込んだ醤油のペットボトルは,結局,封を切らずに日本に持ち帰ることとなった.

さて,バンコクの話である.私はいま,プロンポンという日本人が多い街に滞在しているので,日本語の看板がしばしば目に入るということは,すでに述べた.しかし,一人で和食のレストランや日式居酒屋に,いまのところ行こうとは思わない.

これまでの海外出張では,現地の駐在員と仕事の夜は懇親会という機会もしばしばあった.和食の店に行くこともあり,駐在している人たちは日本食が恋しいのかな?と慮っていた.今回そのような気分にならないのは,まだこちらに来て日が浅いからか,あるいは,たかが半年の滞在と心のどこかで考えているからか.

タイのローカルフードが大好きだという理由もあるかも.タイ料理だいすき.タイ料理はどれも旨い.

先日,こちらの学生と日本の学生をオンラインで交流させるプログラムにおいて,タイの学生が「バンコクにはしゃぶしゃぶ屋がたくさんある」と発言し,いやそんなのみたことないぞ?と私は反論した.しかし,先ほど買い物に出かけたついでにしゃぶしゃぶ屋を一つ見つけた.たんに私が気付いてないだけだったようだ.

翻って,ラーメン屋はバンコク市内のあちらこちらにある.これはもう身をもって確認済みだし,そのうちの何軒かには実際に行って体験している.

最近は日本でもラーメン一杯の価格高騰が著しいが,こちらのラーメン屋も比較的割高な価格に設定されていることが多い.日本円にして1,500円から2,000円くらいすることもざらにある.こないだ行ったところなんて一杯580バーツもした.ラーメン一杯が3,000円近いって,どういうこと?

それでも,美味しいラーメンがバンコクでも食べられるのはありがたい.8番ラーメンをご存知だろうか.北陸を中心に展開するチェーン店で,調べたら日本にも100店舗出している規模の店である.首都圏には出店していないため日本人でも知らない人は多いが,バンコクに10店舗以上ある.タイ人には馴染みのラーメン屋なのだ.KMITLの学生もよく知っていた.

うちの近くに,その名も牛野家という牛丼屋がある.GYUNOYAである.オレンジ色基調の看板で,もう,まんま,あの有名牛丼チェーンのパクリである.牛野屋ではなく,牛野家であるところにも拘りが垣間見られる.それにしても商標的にどうなのよ……と思いつつ,こんなふざけた,いや,興味深い店には,ぜひとも,偵察に行かねばなるまい.

というわけで行ってきたのだ.牛丼並が180バーツ.味噌汁30バーツに温泉玉子40バーツを付けて合計250バーツ.そこそこのお値段ではある.まあ,日本でも最近は牛丼にオプションいろいろ付けたら1,000円ちかくなるもんなと,物価高騰を嘆きつつ,いただいた.

味はもう,完璧にあそこの牛丼とほぼ同じ.若干,つゆだく気味だったのはご愛嬌.ちょっと肉が硬かったかな.まあ,許容範囲か.きちんと紅生姜もあの容器に入って提供されていた.感心したのは,ご飯である.きちんと,ジャポニカ米,短粒種のコメが使われていたことだ.パラパラとしたタイ米で牛丼出されても,気分,出ないもんなあ.

バンコクに2店舗あるそうなので,牛丼フリークの皆様におかれましては,いかがだろうか.バンコクにお越しの際には,ぜひ,チャレンジしてみていただきたい.

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