先日,電車に乗っていたときの話である.車内は比較的混んでいたが始発駅から乗車したので座れて,私はちんまりと座席に座っていた.
ところで,私には軽い鼻炎の持病がある.何かのきっかけでくしゃみが止まらなくなり,十数回はくしゃみを頻発することがある.そのときも,鼻がむず痒くなり,くしゃみが止まらなくなった.
もちろん電車のなかなので,できるだけ手で口を押さえて,周りに迷惑にならないように心がけたつもりではあったが,隣に座っていたオジさんに「飛んでくるんだよ!」と叱られてしまった.
私は配慮が不十分だったと素直に詫びた.まあ,人に不快感をきちんと伝えられることはいいことだ.不要な我慢はせず,非が自分にないならば苦情は伝えるべきだよなあ.Noと言えない日本人は,グローバル社会で舐められちゃうだけだもんな,などと,そのオジに対して,その時点ではとくに嫌悪感を感じることもなく,申し訳ねえな,とすら思っていたくらいである.
ところが,次に思いもよらぬ出来事が発生した.
私の前に,スッと新品の不織布マスクが差し出されたのである.差出人は隣のオジ.くしゃみするならマスクをきちんとしろよ,ということらしい.無言の圧力.
驚いた私は「あ,すみません」と素直に受け取り,パッケージから取り出してマスクをした(させられた).隣のオジは,自分自身もマスクをかけ始めた.
(どんだけ潔癖症かよ!)とびっくりした私は,素直にマスクをかけたものの,だんだん腹が立ってきた.なんで見知らぬオジにマスクをさせられなきゃならんのだ.感染症ならいざしらず,たんなるいつもの鼻炎なんだぞ.「あ,これ,ウィルス性のそれじゃなくて,たんなる鼻炎ですからご安心ください」って言ってやろうか?と思ったけれどもそれも邪魔くさい.勝手に勘違いして不安に思ってるならそうしといてやろうかい,なんて意地悪な気持ちもむくむくと湧き上がってきた.
結局,途中の駅で私が先に降りることになったので,無視し続けて電車を降り,ホームですかさずマスクを殴り捨てた.というか,マスクを取って,くしゃくしゃに丸めてポッケに入れた(あとでゴミ箱に捨てた).
降り際に「どうもありがとうございました」とお礼を言うふりをしてオジにマスクをつっ返してやろうかとも思ったが,大人ゲないのでやめた.
以上が,先日出会った変なおじさんの顛末である.
(いらすとやにあったオッサンのイラストが,当該オジに本当にそっくりだったんだよ)
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