2025年6月23日月曜日

カッコと句読点

学生の論文指導をしていると,学生がよく間違える書き振りにはパターンがあることに気づく.今回指摘したい事項は,文末のカッコの取り扱いである.

そもそも,文末の参考文献リストに挙げている文献を本文中で参照していなかったり,挿入した図版の参照を本文中でしていないなど,論文のルールを逸脱した文章を平気で書いてくる.いかに論文を読んでいないかが明白なのだが,そこは,何度も根気よく指導していくしかなかろう.

そのような草稿を書いてくるので,「挿入した図版は本文で参照して説明しないといけないんだよ?一番イージーな参照方法は,カッコ書きで(図x)って入れればいいから」と指導した結果が,先に示した状況である.参考文献の引用記号の挿入でも多くの学生が同じミスをする.

本来,文Aで参照しなければならない「(図x)」を,句点の後に書いてしまうと,どうなるだろうか.「文A.(図x)文B」となるはずである.これでは,文Bにくっついてしまうではないか.とても気持ち悪いのだが,そう思わないのかな?

そんなことをSNSでぼやいていたら,Y先生が,「ここは『なぜこれが直感に反すると感じられるのか』という研究を始めていただいて……」と指摘してくださった.さすがにこのような研究をされているひとはすでにいるのではないか?と探してみたら,「日本語における句読点使用の定量的研究」というタイトルで,似たような研究をして学位を取ったかたがいらっしゃるではないか(いろいろな研究があるもんだなあ).

当該論文は要約しか読めていないが,博士論文の要約によると,第7章で,句点とカッコの関係性を論じている.そのままズバリではないが,こんな感じ(要約の該当部分を引用する)である.

句点と閉じパーレンの組み合わせでは,「パーレンのみ」は Yahoo!知恵袋とYahoo!ブログ,書籍,雑誌において半数以上を占め,最もよく使われる組み合わせであることがわかった.また,次に多く使用されていた「パーレン-句点」は書籍と新聞,教科書で多く使われる組み合わせであった.「句点-パーレン」は白書において多く使用されていた組み合わせであったが,文末というよりは,資料の引用を示すために文中で使用される例がほとんどであった.

カッコ閉じるで句点を使わず終わりにするパターンが一番多かったというのはやや意外ではあったが,電子的なテキストなどでは,そのようなケースも日常的に使われるだろう(たしかに,そのような指摘がなされている).書籍では「).」という組合せが多いというのは,私の感覚と合致する.そしてその逆は,文中のケースが多かったとのこと,さもありなんである.

ということで,正解は確認できたものの,なぜ学生たちは「文A.(図x)」としてしまうのか問題は未解決のままである.誰か解明してみませんか?

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