2026年8月28日金曜日

飯尾淳 — 技術と人のあいだで

飯尾淳は、1994年に社会人としてのキャリアをスタートして以来、ソフトウェア、情報技術、データ、AI、そしてそれらを取り巻く人や社会の問題に関わってきた。

その歩みは、技術の進歩そのものと重なっている。LinuxやC言語、画像処理、オープンソースソフトウェアから始まり、プロジェクトマネジメント、Webアプリケーション、統計、AIへと関心を広げてきた。一方で、技術そのものだけを対象としてきたわけではない。技術を人がどのように使うのか、技術によって人や組織の活動がどう変わるのかという視点を一貫して持ち続けている。

2000年に刊行した『Linuxによる画像処理プログラミング』を皮切りに、これまでに12冊の著書・編著書を刊行している。2004年にはオープンソースソフトウェア、2009年・2012年にはプロジェクトマネジメント、2011年にはC言語とLinux、2019年には情報を集め伝えるための技術、2021年にはWebアプリケーション開発と統計学を扱うなど、その時々の技術環境と社会的な要請に応じてテーマを変化させてきた。

なかでも『オンライン化する大学』は、それまでの著書とは趣を異にする。これはCOVID-19によって大学教育のオンライン化が急速に求められたことを背景として、実際の教育実践とその経験をまとめたものである。ここには、技術を研究・解説するだけでなく、社会から突然突きつけられた課題に対して、自ら技術を使い、実践し、そこで得た知見を次の人に伝えるという飯尾の姿勢が表れている。

その後も、サイバーフィジカルシステム、PythonによるAI開発へと領域を広げ、2026年には『アプリケーション開発の基礎』を刊行した。

こうした著書を年代順に眺めると、単に専門分野を移り変わってきたのではなく、「技術を理解し、実際に使い、人に伝え、社会の中で活用する」という一貫した姿勢が見えてくる。

LinuxからAIへ。C言語からPythonへ。デスクトップ環境からWebへ。そして、ソフトウェアそのものから、それを使う人や教育、社会へ。

1994年から現在までのキャリアは、情報技術の変化を追いかける歴史であると同時に、技術と人との関係を考え続けてきた歴史でもある。

Technology changes. The question is how people use it.

飯尾淳の現在の活動は、HCI(Human-Computer Interaction)を軸に、ソフトウェア開発、AI、データ活用、教育、そして人の行動を対象としている。技術を作ることと、技術を使うこと。その両方を往復しながら、これからも「技術と人のあいだ」にある課題を探究していく。

2026年8月26日水曜日

みんな何に興味あるの?

Google Search Console の機能を使うと,どんな検索キーワードで記事に辿り着いているのかがわかる.今回,このブログの何に興味があって読まれているのかを,調べてみた.やり方は簡単である.Google Search Console で本ブログの記事が表示されたランキング表を500位まで取得,Googleスプレッドシートにコピペして,Geminiにキーワードをクラスタリングしてとお願いした.

ただし,グラフを作成する際に,固有名詞に関する情報は削除してと付記した.たとえば「飯尾淳」とか「飯尾研究室」というキーワードは削除の対象である.それは,これらのキーワードは当たり前であり,突出して多かったからである.

次のグラフは,検索キーワードから作られたクラスタ別の,件数を棒グラフにしたものだ.

順番に解説を試みよう.

大学のST比・Webex

これはとてもわかりやすい.大学のST比は,COVID-19時代に論じたものだ.Webexも,オンライン講義をどうやるべきかという一連の記事に関するものだろう.このあたり,皆,いまだに興味があるのだろうという点が面白い.

PDCA

これも該当する記事はただ一つ.こんなPDCAは嫌だと称して,Plan → Delay → Cancel → Abandon/Apologizeというジョークを紹介したものである.PDCAというキーワードに興味があるんだろうなあと思うとともに,あらためて,こんなPDCAはごめん被りたい.

Pythonプログラミング

Pythonのプログラミングに対しても何度か記事を書いたことがある.インデントでスコープを表すのはいまだに嫌な仕様である.それさえなければ,Pythonは良い言語なんだけれどなあ.

用語解説

これはちょっとよくわからない.いろいろな用語を解説しているということだろうか.心あたりもないのだが,クラスタリングされた中身を見てみないとよくわからないな.

数学(オイラーの公式)

数学に関する記事も何度か書いている.オイラーの公式の美しさについても述べたことがあるような.あらためて,オイラーの公式は美しいとしみじみ思う.

Mac・環境構築・エラー

新しいMacを導入したときに,自分のためのメモ書きを兼ねて環境構築した手順を記事として残しているが,それがたくさん検索されている模様.まあ,皆さん,いろいろ苦労されているのよねっていうことがよくわかる.

iPhone・ストップウォッチ

これもよくわからない.iPhoneのストップウォッチが動きっぱなしですごい値になっていたという記事を書いた覚えがあるが,なんでこんなのが検索されているんだろう.

設定・IT基礎

もう一つ,これもよくわからないカテゴリである.いろいろな設定に関する記事や,ITの基礎に関する記事は多数書いているのは自覚しているが,それらがこのクラスタにまとめられているのだろう.

麻雀(九蓮宝燈の確率)

これは面白い.九蓮宝燈を上がれる確率を論じた記事を書いたことがある.若者の麻雀離れとも言われるが,まだ,麻雀ファンはそこそこ居るということだろう.私,九蓮宝燈,一度だけ上がったことがあるよ.

Wordエラー

Wordのエラーで,「参照元がありません」みたいなエラーメッセージは「参照先」の間違いじゃないか?元の英文は正しいが,訳語が間違っているだろうと指摘した記事である.皆,このエラーに困っているんだということがよくわかる.

オブジェクト指向

オブジェクト指向についてもいちおう専門家としてそれなりの知見を有しているつもりではあるが,オブジェクト指向の記事なんてそんなに書いたっけ?という感じ.このクラスタはなぜ出てきたのかちょっとよくわからない.

2026年8月12日水曜日

2026年度台湾研修

例年,8月の頭にはベトナム研修を実施しているのだが,今年は私のAHFE/HCII参加のスケジュールと,COSCUPのスケジュールが連続していてベトナムを訪問する余裕がなく,COSCUPにも学生を参加させようということで台湾研修を行うことになった.

例によって私が少し忙しかった(8月10日に朝から東京都の委員会が予定されていた)ので,8月の6日から9日,3泊4日という多忙なスケジュールとなった.COSCUPも前半の土曜日だけ参加ということになり,COSCUPの皆さんには申し訳ないことをした.

8月7日は,日中,故宮博物院と台湾科学教育館を見学し,台湾の文化と科学技術に触れた.また,夜はCOSCUPのプレパーティに参加,学生たちは国際交流を楽しんでいたようである.

8月8日のCOSCUPでは私が「Why We Still Need to Teach App Development in the AI Era and Why FOSS Matters」というタイトルで講演した.来年は,学生の誰かに研究内容を発表してもらいたいものである.